南アW杯観戦で治安最悪に触れる「移動」 <パーク&ライドについて>

    
    
今回の南アW杯観戦の個人手配でチケット、エア、ホテルが確保できたとしても、一番の心配は、やはり、現地での足だ。くれぐれも観戦中になにか危険があるわけではない。南アの治安最悪に直接関わってるのがこの移動の部分で、移動の基本となる空港、ホテル、スタジアムを結ぶラインが一番のネックになる。特に、入国、帰国、都市間移動で大きな荷物を持っている時の移動は、一番狙われやすいので、必ず、タクシーを押さえ、長時間、荷物を持った状態で、ホテル宿泊以外に居ないことだ。

試合終了後のスタジアムからの帰りが、どうなるのかが一番の心配種だ。これも、現地に行ってみないことにはわからず、ぶっつけ本番に。実際、(開幕、日本戦観戦主体の)先発観戦組の情報を貰える(決勝トーナメント観戦主体の)後発観戦組は、アドバンテージがあるものの、基本的には、手配勝負になる。

今回は、公共の電車が使えないため、ホテル宿泊先からスタジアムへの移動はパーク&ライド方式が取られる。各自、マイカーかタクシーで、スタジアム近くの駐車場まで行き、そこからバスに乗り換えてスタジアムへ行くか、スタジアムまでの2、30分から一時間の徒歩になる。

実際、帰りの足は、タクシーを(事前に現地で予約して)確保するしかないのだが、人ごみの中、そのタクシーとの落ち合わせ場所に、迷わずにたどり着けるかが一番のポイント。土地勘もなく、周囲は夜で暗く、たくさんの車のある中で、そのタクシーを見つけなければならない。目の悪い方、方向音痴な方は、かなりハンディに。新設のスタジアムは、あらかじめスタジアム周辺に大規模な駐車場が設置されるようだが、ここが開放されるかも左右してくる。

もちろん、スタジアムの半径数キロは大量のパトカー&装甲車によるセキュリティエリアになるため、その中に居る限り、(テロ、スリ・置き引き以外は)心配ないのだが、このセキュリティは試合後、数時間で解かれてしまうため、タクシーの合流場にたどり着けず、迷ってうろうろしている間に、時間が経ち、セキュリティ解除となれば、かなり危ないことになる。もし、そうなったら、生きて帰れる保証はない。もちろん、誰も助けてはくれないし、自分で何とかするしかない。われわれ現地観戦者が唯一、懸念する治安と対峙するとしたら、このポイントであろう。他のメディアやネットで騒いでいる事例やニュース、治安における数字は、普段の南アフリカの話であり、われわれとは直接、関係ない。

とりあえず、現地では、事前の知識確保に加え、十分な英会話能力と携帯電話が重要になる。正直、この二つが不安、用意できない人は、個人での現地観戦を見送った方がいい。また、一人で単独行動するより、複数の仲間内で行動したほうがいい。女性も、今回は、男性と一緒でなければ、見送った方がいい。もちろん、移動中は手ぶらが基本。ビデオカメラなど片手にうろうろしないことだ。

スタジアムまでは、バスのピストン輸送もあるそうだが、発着場が宿泊先から歩くというのであれば、その発着場までタクシーを使わなければならないので、まったく意味がない。また、メディアの方は、スタジアムにメディアバスがあり、仕事エリアがあるため、一般の人とは、かなり待遇が違う。よって、彼らの話は、あまり参考にはならない。

いずれにしても、治安が懸念される中、そのほとんどは普段の南アフリカの話であり、W杯大会期間中は、軍隊、南ア警察、他国警察が警戒モードを張り、別の世界になる。むしろ、加害者である犯罪者の方が、動くに動けないほどの厳しいセキュリティになるのは確かだ。スタジアム内、スタジアムのセキュリティ内が、(スリ、置き引き以外)一番安全な場所になるといえよう。他では、空港、高級ホテル街なども治安維持が投入される。

蛇足だが、スタジアムのカテゴリー3、カテゴリー4は危ないという勘違いがあるようだ。カテゴリー3は外国人エリアで、たしかに、カテゴリー4は、南アフリカやアフリカ人専用の座席エリアである。だから、危ないということはない。そもそも、スタジアムに入るのには、金属探知機、ボディチェックなどの重点的なセキュリティ・チェックを受けてから出ないと、入場できない。チェックは検問が何箇所か設置される。よって、カテゴリーがどこであろうと、スタジアムの中が、南アフリカでは一番、安全な場所といえる。(もちろん、スリ、置き引きは該当しない)。


とにかく、現地観戦での本質を見極めれば、われわれ観戦者が南アフリカの治安最悪の触れる点は、「移動」であること。それさえクリアすれば、後は現地のルールに従い、馬鹿な行動さえしなければ、ほぼ普通に観戦できるはず。ただし、治安が悪いという事は、コスト増になるということ。移動含め、すべてに不安な方は、大手旅行会社のエア、ホテル、移動、チケット込みの高い観戦ツアーを利用するのが望ましいかもしれない。もちろん、馬鹿高い金を払って見に行く価値があるかは、個々の判断に委ねられる。


*空港、ホテル、スタジアムを結ぶ「移動」についてのみの記事です。