中東がクライアントのJリーグは…。

   
    

浦和のエメルソンがカタールに移籍して以来、マグノ・アウベス、バレーなど実力あるブラジル人のJプレーヤーが次々移籍している。今季は名古屋からダビ、先日、大阪からレアンドロが、神戸からは監督のカイオまでが移籍した。正直、中東のスカウトなりブローカー、エージェントは、確かで、いい目を持ってると思う。移籍している選手は、Jリーグでも、それなりに数字を残していて、われわれがいい選手だと思うプレーヤーばかりだ。それだけ、彼らがJリーグをひとつのテスト場と見立ているともいえる。今後、川崎の外国人なども、ターゲットになるのでは。

何故か、大阪からの中東移籍が目立つが、大阪のフロント(スカウト)の目もそれだけいいという裏返しである。大阪などは、Jリーグで活躍した外国人を積極的に獲る路線で、野球の巨人に近い部分があるものの、フロントとしては、移籍で抜けたポジションの戦力補強という当然と仕事を、自分達の指針に従って、ごく普通にやっているまでだ。新潟からペドロを抜いたのも、電光石火の仕事ぶりとみる。もちろん、ダビが抜けて、ケネディを獲った名古屋も、ヨンセンの放出のミス・綻びを埋めたといえる。ただ、それが出来ないクラブもある。金の問題で出来なかったり、単純にフロントのお頭(おつむ)が○○な場合もあろう。


さて、こういった中東移籍を「流出」「引き抜き」とメディアはネガティヴに報じるが、わたしはまったく悪く考えていない。むしろラッキーぐらいに考えている。中東の彼らとて、金がジャブジャブあるわけではなく、きちんと価値を見定めて、投資しているのだ。若すぎず、盛りの過ぎた選手でもなく、前述したように、いい選手ばかりであるのがなによりの証左だ。

不況の昨今、日本の各企業は売るためにコストを下げるなど躍起だ。それに比べ、買い手が居るのは、ありがたいことこの上ない。売ったクラブは、高く売れたと喜んでもいいぐらいだ。もちろん、チームの布陣変更を迫られ、サポーターに愛着の出てきた選手を獲られるという気持ちは、わたしも同調する。ただ、それを切り離して、クラブ本位でのみ、ビジネスと考えれば、売るというスタンスも、当然のごとくアリだ。「流出」「引き抜き」でなく、「高く売り抜ける」ように、Jクラブもそれなりに商売として活用すべきかもしれない。チケットの入場料収入、スポンサーにおんぶしている体質では、自転車操業で限界もある。

もちろん、日本において、そういったビジネスは、人身売買と揶揄されるであろう。ただ、欧米では、いたって普通のビジネスである。今後は、各クラブとも、外国人との契約には、違約金などの特記事項が必要になるであろう。あらかじめ、中東が支払えるギリギリの高い線を設定しておくといいだろう。くれぐれも、中東がクライアントとなれば、Jリーグは、すくなくとも強気に打って出ていい。




*余談ながら、スペイン2部ジローナの指宿洋史レアル・マドリードに移籍したが、将来のトップ昇格はないだろう。