<戦評> 日本代表 1‐0 コートジ・ボ・ワール代表

   
正直、水曜日にチャンピオンズリーグ決勝があった後だけに、このゆるゆるモードは何?。…と、比べたらいけないが、やはり、どこか物足りない。喩えると、食事してたら、なんだか、途中から腹が一杯になってきたような印象の試合だった。新鮮だったのは、国歌斉唱を歌ったママさんグループくらいか。

試合は、コート・ジ・ボワールが後半の失速を懸念して、スロースタートしたせいか、日本は、序盤に攻勢を仕掛ける。特に、闘莉王のドリブルを起点にダイレクトのパス回しで大きなチャンスを作った(結果、大久保が外した)が、この瞬間のコンビネーションはオシムの名残か、これまでの岡田ジャパンで一番良かった。だが、岡田監督のやりたいフットボールも基本的には、プレスでボール奪取し、攻撃でサイドを使い、かつ、FK、CKからセットプレーで得点するだけだ。あとは、集中してファイトして守る。ようするに、(フラットスリーにも似てるが)足が止まるとジ・エンドになるオーソドックスなフットボール。難しいことでもなければ、複雑でもない。ある種、選手のポテンシャル頼みである。

先制点は、今野のスルーから長谷部へ渡ると、サイドをドリブルで駆け上がってクロスし、それまで消えていた玉田が(大久保のDFを引きつける動きにフォローされて)ドフリーをきっちり決めた。しかし、なんだろうか。ワールドカップのブラジル戦で玉田が決めたあのゴールから2年経つが、代表において、いまだにあれを超える感動のゴール、興奮はない。正直、今、日本代表のゴールで興奮することはない。むしろ、サポートクラブのゴールの方が、よほど興奮する。


試合は、終始、ボールの落ち着きどころの見えない試合。それもそのはずだ。ジーコ監督退任以後、支えてきた阿部、鈴木という屋台骨を外し、今野、長谷部でボランチを形成したのだから。今野は先制点の起点となる良いスルーがあったものの、相手の厳しいチェイスもあってか、全体的に出来が良くない。彼は読みで勝負する選手だが、この試合では、ことごとく読みがはずれ、もしくは読みが難しくなってしまい、ペース、流れに乗れなかったようだ。すこし引きづりながら、プレーをしていた印象だった。遠藤も良かったり、悪かったりで、完調には程遠い印象。逆に、光っていたのは長友。このまま辛抱強く使い続けるか、それとも…。日本の将来を考えるのならば、使ってもらいたい気もするが。まだ、ミスもあり、判断、体の使い方、経験など、課題は多い。

ちなみに、コート・ジ・ボワールは移動付で中1日の試合である。日本は、そんなハンデを貰いつつ、後半ガス欠ぎみにスローダウンした。逆に、スロースタートしたコート・ジ・ボワールは押し返す。また、日本は致命傷なミスを含め、細かいミスが終始、散見された。幸い、大事に至らなかったが、コート・ジ・ボワールが全開モードだったら、1‐3で負けていたのではないか。

次の相手は、来日後、新宿のヨドバシカメラに登場したパラグアイ代表だが、楽しい買い物は済んで、十分に日本のバカンスを満喫したのではないだろうか。蛇足だが、岡田監督が帽子被っていると、多摩川の釣りのおっちゃんに見えてしまう…。



尚、すこし前の記事に、U-23トゥーロン国際大会に出場している日本の真価はチリ戦で問われる。と書いたが、残念ながら、チリに0―2で敗れた。見えない部分で力が違うなという印象。次のイタリア戦も同様だが、2連敗して、実力を思い知ることになるだろう。むしろ、本大会でイタリアと当たる韓国の物差しになってしまうだろう。