Jリーグのファン層のバトン時期は…

ちょうどJリーグ創世期にスタジアム観戦していた若年層が、所帯を持ち、そろそろ良い年齢に差し掛かっているといえよう。中には、スタジアムへ行かなくなり、テレビ観戦組に変わったり、完全にJリーグを見なくなった離脱層もいるはず。そんな中、驚きの数字が出た。

Jサポーターも高齢化…36・5歳
 JリーグはJ1、J2の全33クラブの担当者を集め、07年の観戦者調査報告会を行った。調査によると平均年齢は高齢化の影響で36・5歳となり、女性客が全体の4割に達した。観客動員は史上最多の約860万人。ただ、年間10試合以上を観戦するサポーターが過半数だった。

驚きは、高齢化した36・5歳の彼らがJリーグから離れずに支えているということ。おそらくは、Jリーグ創世期直後のJリーグバブル崩壊で、観光客を含めたファン層の振るい落としがなされ、そのままコア層のみで横々に来たともいえる。よって、コア層がそのまま齢を取ったと考えれば、当然といえば当然の数字なのかもしれない。Jリーグバブル崩壊で、いきなりリーグの人気は底を迎え、そのまま生き残ったコア層が、ずっとJリーグを支えてきた底辺構造はラグビー層に近いかもしれない。

その反面、新規取り込みが芳しくないとも取れる。Jリーグバブル崩壊後は、若干の押し目を作りながら、緩やかな右肩上がりを見せているはずだが、もっと平均年齢を押し下げる力が働いてもよいものだが。今後、間違いなく来るであろうファン層の新旧交代で、上手く入れ替えができるかどうか。阪神タイガースイングランド・プレミアリーグのように、子供や孫にファンを継承できるかどうかも鍵になってくる。

特に日本は欧州のようにサッカーだけが唯一の楽しみという環境ではない。多様な価値や選択肢があり、おまけに飽きっぽい。そういう意味では、厳しい環境であるが、4年に一度やってくるワールドカップが、それなりの起爆剤としての役割を担っているのかもしれない。

また、サポーターの高年齢化は、ゴール裏のリピーターが頑張っている結果でもある。たとえば、浦和もチャントコールするグループがCCからBOYSにシフトしてるが、こういった応援母体のチェンジ、バトンも、今後に大きくかかわってくる。ひょっとすると、荒川沿いの暴走族の隊長襲名交代に似ているのかもしれない。今後は、Jサポーターがさらに高齢化することなく、若干下がりつつも、急降下もなく、三十歳前後で落ち着けば、理想の動きになるかもしれない。それもうまくバトンが渡せるかにかかってくる。


ちなみに、日本代表サポーターも高齢化しているはずだが、今後は、年齢層が固定できずに紆余曲折するのではないか。日本代表はワールドカップに出場し、2002年の母国開催ではベスト16も果たし、ファンたちは短期間で一応の満足感を得た。次なる満足は理想の高いわれわれ日本人からすると、W杯の優勝レベルになってしまうであろうが、それは時間にして、あと半世紀から一世紀は必要になる。そもそも代表の応援など、(地域と密接した)クラブの応援体質とは明らかに違うため、実体のないバブルそのものでしかない。一部のコアサポを残し、観光客主体の平均年齢によって、乱高下する傾向になるのではないだろうか。