<展望>日本代表 対 スコットランド ラグビーワールドカップ2015 「勝ち点1を取れるかどうか」

                 
     
    
スコットランド戦は完全アウェイで迎える。しかも会場の芝は良くない。これが日本の緒戦でなくて良かったが、ただ、緒戦に負けて気持ちを切り替えるのと、勝って気持ちを切り替えるのとでは、大きな違いがある。緒戦のスプリングボクスに大敗していたら、このスコットランド戦は、リカバリー面で、相当、無理を強いられていたところだが、そうでない。むしろ、このスコットランド戦は、負けても(残り二戦に影響を与えるような)酷い負け方さえしなければいいだけである。

当然、スプリングボクスに勝ったからといって、見立ての上方修正はしない。スコットランド相手では完全に日本が格下である。試合の焦点は、スプリングボクス戦同様、日本が何点差で負けるかにある。惨敗か、惜敗か、どのようにして負けるかの内容を確認する試合でもある。先日の記事に書いたように、スプリングボクスに勝ったからスコットランドに勝てるという方程式は成り立たない。日本が強いからスプリングボクスに勝ったのではなく、スプリングボクスが自滅したに過ぎない。繰り返すが、日本は強くはないし、むしろ弱者の立場であるのは変わらない。そして、それこそが日本が闘うスタンダードでもある。よって、日本はミスを少なくし、その上で、あとは、スコットランドの出来如何という試合である。スコットランドが不調でも、日本がミス連発すれば、大差のスコアになるし、スコットランドが完調で、日本がミス連発すれば、50点差以上の大敗もありえる。スコットランドが不調で日本にミスが少ないケースでのみ、ゲームとして初めて見れることができる。

スコットランドとの過去の対戦対戦は日本の7敗で、1989年に28-24で唯一勝った試合もあるが、あれはスコットランドペナルティショットを外しに外しまくってリズムに乗れなかったに過ぎない。スコットランドには、ブリティシュ&アイリッシュライオンズ選出のスチュアート・ホッグに加え、ベンチスターターにも流れを一発で変えられるショーン・マイトランドがおり、選手層は厚い。試合では、グレイグ・レイドローとフィン・ラッセルのハーフ団が試合をコントロールするであろう。闘うスタイルは先行逃げ切りが身上で、スクラム、モールも強く、キックも使い分けが上手い。今年のシックスネイションズスコットランドは全敗してるが、あくまで高レベルのシックスネイションズでの話であり、残念ながら、日本の追い風材料にはならない。むしろ、スコットランドは若い分、爆発力を秘めている。もちろん、日本戦にBチームを投入しないし、彼等とて大事な大会緒戦であり、順調なスタートを切りたいはず。

欲をかかずに日本が大敗しない、善戦するためのポイントを考えてみる。残念ながら、スコットランドが日本に劣る部分は何もない。ただ、日本としても、スコットランドのスパーリング相手にはなりたくない。仮に、日本がスコットランドのアキレス腱を衝きたいのであれば、それは実力においてでなく、メンタル意識の部分になろう。スコットランドが「日本は弱くない」と頭では分かっていても、どこかで格下という意識が働いたならば、実際、対戦して、身体をぶつけ合っているうちに、「格下とは思えない」とはじめて日本の力を肌で感じ、気がついたときには後手を踏んでしまっている展開だ。順調な大会緒戦のスタートを切りたいのに、そうでない焦りから微妙なズレがプレーに影響すると、日本には好機が生まれる。ただ、そういうメンタル勝負に持ち込むには、早期の大差だけは避けなければならない。という条件が付く。

また、スコットランドは日本戦が今大会緒戦のため、すでに1試合消化してる日本が、公式戦の場馴れ感を有利に引き出せるかどうかがポイントになる。そのためには、前半の序盤で受けに回らず、むしろ能動的に先手を仕掛け、ミスせず、ゲームを進められるかどうか。早めの賭けのテーブルに日本が乗らなければならない。まずは、スコットランドのエンジンがかかる前に、流れの主導権を引き寄せてゲームを進め、1桁点差で進める。ミスからスコットランドに主導権を渡してしまうと、今度は逆に、スコットランドの緒戦というフレッシュ感が勝り、連戦の日本は、疲労というツケを支払うことになり、苦しくなるであろう。

とにかく、ゲームの入りの間隙を衝けるかどうか。立ち上がりだけは、日本がスコットランドにお付き合いする必要はない。スコットランドが立ち上がりに浮き足立ち、彼らが追いかける展開が日本に望ましいが、それには、肉体的に、精神的にプレッシャーを連続して仕掛けられるか。ファーストスクラムにも注目が行く。陣地、時間帯ともにイーブンな状態でファーストスクラムを組みたい。そこで行けそうなのか、しんどそうなのか、そこで感触を掴んでおきたい。とにかく、立ち上がり10-15分でこの試合がどうなるか。もちろん、そこでゲーム(勝敗)も決まってくる。とにかく、序盤の主導権の握り合いで、ほぼ勝負の方向性は決まると見ておいたほうがいい。

想定される展開としては2つある。序盤から14点差以上ついてしまい、前半で勝敗が早くに決するケース。そして、前半を一桁から13点差以内で収めるものの、後半に一気に突き放されて勝敗が決するケース。前者の場合は、4トライを奪って勝ち点1でも得られるよう集中力を切らせないこと。集中力が切れてしまうと、確実に大差負けになる。後者の場合、後半立ち上がり10分の過ごし方次第になる。日本としては、点差が開いてしまう時間帯を極力、遅らせるしかない。流れは、順当に進めば、スコットランドの先行逃げ切りとなる。この流れ自体はほぼ間違いないだろう。

この試合は、あくまで対スコットランドとの直近の17-42の25点差負けをベースとしておく。準ホームのスコットランドに80分間、ミス無く普通にプレーされたら、12-42、15-52くらいの敗戦スコアは想定しておいた方がいい。試合のどこかで9点差以上つけられると、ほぼ日本の勝機はなくなる。二桁の点差が付けばそこでゲームの勝敗が確定する。展開が、どちらに振れるかだが、突き放される時間帯を出来るだけ遅らせ、スコットランドに余裕を持たせてはならない。また、日本としては、かならずロースコアのゲームに持ち込むこと。30点以上の試合展開は日本に有利ではない。そもそも日本が80分間で奪えそうなトライは、2本前後が目安である。前半を12-16点のスコア幅で1桁点差で終え、後半、勝負する流れが日本には良いであろう。とはいえ、確実にいえるのは、30点を先の取った方が勝つということでもある。

当然、日本への注文は多くなる。マイボールラインナウトはほぼ100%近く確保したい。相手キックオフ後のボール獲得率も上げたい。インプレー中は、自陣での不要なペナルティは避けたい。ファウルをするにしても、(相手に流れを渡さない)意味のあるファウルをすること。ラックでのブレイクダウンですばやく、スクラムもヒット&アウェイで展開する。キック戦に持ち込めるかどうかだが、これも相手とスコアが拮抗してる時のみだけで、展開次第になる。タッチライン際の攻防で、突破されたりすると、スコットランドを乗せてしまい、トライの山を築かれてしまう。特に、ワイドに展開された場合、大外で一対一のシーンを多く作られると厳しくなる。スコットランドに数的イーブンの状態を保つディフェンスが必要になる。当然、個々のディフェンスでのビックプレーも二つ三つ必要になってくる。逆にいえば、一対一の局面で止められるかどうか、個々の勝負で対応しきれるかどうかで、次のサモア戦の指針にもなる。そういう意味では、三戦目への目処を立てる試合でもある。

アウェイの空気、怪我、シンビン、誤審、スクラムの苦戦、イレギュラーなシーンも出るであろう。選手個々の状況に応じたすばやい判断・対応も求められる。認定トライは出にくいが、競った展開になればなるほどドロップゴールが有効になる状況もあろう。また、貰ったアドバンテージを有効に使うこと。アドバンテージを背負いながら、安易なキックでアドバンテージ解消してしまうのは得策ではない。60分を過ぎたあたりから緒戦の負荷が襲ってくるであろう。交代のタイミングも重要になってくる。大差負けならまだしも競った展開なら残りの20分をどう凌ぐかが鍵になる。また、日本はメンバーが6人入れ替わるが、特に、FW陣は(緒戦のダメージから)総入れ替えゆえ、呼吸がかみ合うか。そして、福岡のプレータイムが長くなるか短くなるか。彼の交代時間で、分の良さ悪さが計れるであろう。

とにかく、凡ミスの嵐でゲームをぶち壊してほしくはない。敗戦となっても締まった流れの展開を期待したい。大敗するにしても、4トライとって勝ち点1を取るか、7点差以内の惜敗で勝ち点1をゲットできるか。普通に考えれば、この試合は、スコットランドから勝ち点1を取れるかどうかだ。当然、スコットランド戦の内容に合わせて、26日のサモアスプリングボクスの試合内容にも注視したい。この試合でサモアが善戦するようだと、3戦目が(GL突破を考える上では)天王山になる。


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