<選評> 日本代表 1-1 オーストラリア代表 「凡戦は仕方ない」

     
   
  
浦和美園駅に着いたのは昼下がりの午後。サポーターの出足は早く、降りたホームはガラガラではない。駅の改札を抜けると、チケット難民の人が黙って求めの視線を投げていた。はたして彼らは、観戦出来たであろうか。しばし待ち合わせ、皆と合流し、駅舎を出ると、頭上には雲ひとつない青空が広がり、真夏日の陽射しが照り付けていた。青ユニの流れは駅を境にスタジアムとイーオンに分かれている。ビールに水、食料の買出しのため、皆とイーオンへ向かった。

イーオン内は青ユニで溢れ、普段、見慣れた赤ユニではない光景に、今日は代表戦なのだと実感する。いつもより余分に買出しを済ませ、スタジアムまで徒歩で向かった。道中、眼前に近づいてくる埼玉スタジアムが、いつも見ているスタジアムとは別物の白い箱に見えてくる。歩いた距離も、いつもより長い気がした。スタジアムに着くと、すでに朝の列整理を済ませたゴール裏組が炎天下の中、胡坐をかいて、さながら日光浴となっていた。出店には人が並び、チラシを配る人がせっせと仕事をしている。スタジアムまでの人の流れは途切れず、時間とともに太くなっていく。試合前の緊張感とは程遠く、むしろ、イベントやコンサート会場に近い雰囲気。

ビールのプルリングを引き、全員でぐいぐいやる。試合を見るより、こっちの方が楽しかったりする。これもフットボールの一部である。試合後も飲むことを考えると、試合が退屈だったら、寝落ちするかもしれない。開門まで時間はあった気がしたが、あっというまに時間が迫り、座席に着いたのはキックオフ40分前だった。スタジアム内は、露天の雰囲気。今回のW杯アジア最終予選は、地力消滅などの崖っぷちに立つこともなければ、地力復活の喜びも無い。高低差の激しい一喜一憂をすることはなかった。W杯アジア最終予選頭二つを獲ったアドバンテージなのは承知だが、いっそ、豪、韓混ぜた8カ国総当りの予選方式の方が妥当なのであろう。ピリピリ感を味わうことはなかった。

キックオフ後、ゲームの入り方でこの試合の空気を探ったが、大波も来なければ、凪にもならない。オーストラリアはパスを繋ぎ、カウンターも織り交ぜながらゲームを進めた。勝ちたいのか慎重なのか中途半端ではっきりしない。ゴールの匂いは日本のミス以外に感じなかった。日本はいつも通りにやってるが、W杯アジア最終予選頭二つを獲った前半立ち上がり怒涛の圧力は無い。もはや、W杯アジア最終予選ではなく、普通の親善試合を見ているかのよう。この試合をプレ値で見たら、焼き鳥一本2万円のレベル。正直、2000円にも値しない内容。欠伸を噛み殺すのが億劫で、時間も長く感じられた。我慢できず、前半が終わらないうちに席を立った。喫煙所でハーフタイムを40分くらい使い、後半途中から席に戻った。

内田が無様に抜かれ、(元広島・森脇の)たぶん、見たことのある弾道のゴールでオーストラリアが先制した。メディアは、事故、アンラッキーと伝えるが、ゴールめがけて蹴ってるからああなるわけで、(身内のように)ゴールじゃない方向にパスしてたら、ああいうこともない。ただ、このまま負けたら、なんて味気ない試合だろうか。とはいえ、日本がPKで追いついても、先の読める映画のラストシーンを見てるようで、そんなに感動はなかった。すくなくとも、ドーハ、ジョホールバルのような胸裏がわなわなと揺さぶられることはない。まあ、そもそもフットボールはこんなものであるし、そうでない場合が少ないのは承知だ。今日の凡戦は仕方ない。すべては、日本が、W杯アジア最終予選頭二つを獲ったアドバンテージに尽きる。あれがなければ、スタジアムでこんな過ごし方は出来なかったはずである。

個別では、本田圭祐の存在感は際立っていた。U-20W杯の頃、ドリブルしているクインシーを追いかけて、逆に倒されていた時代が遠い昔のようだ。(今試合以降のことを考えると)吉田麻也はスピード勝負になると、かなりの確率でぶち抜かれるリスクはある。自分が抑えられずに(失点した)内田については、計算のうちである。だが、試合後のコメントは大人じゃない。「負けると思った。」は、素直なコメントだとしても、当事者が言うことではない。それは外野が言うこと。過去記事で散々書いてるが、軸になる選手のミスで負けて「仕方ない」と思えても、今の(プレーが軽い、プレーに強い意思が感じられない)内田のミスで負けたら、納得できない。それを懸念してるだけだ。彼のメンタル成長を待ちたいが、あれだけ恵まれた環境に居て、あの伸び代では。時間の投資対効果は長友祐都に比べると、寂しいものだ。

さて、今後だが、6月は5試合(最大7試合)のバーターマッチになる。移動含めたコンディション調整が大事になる。イラク戦をターンノーバーして、コンフェデレーションズ・カップの調整試合に出来るかどうか。そして、ブラジル戦が大きな試合となる。ここで大敗するかどうか。ここを上手く乗り切れば、1勝1敗1分でベスト4の可能性が見えてくる。当然、惨敗グループリーグ敗退は、十分にありえるが、ベタ過ぎて、何も得るものは無い。

コンフェデレーションズ・カップはショウウィンドウでもる。ステップアップのために、個人的な目的でプレーしてもいいだろう。そういった欲が推進力にもなるが、自分を売り込みたいなど、おとなしく謙虚なわれわれ日本人にそこまでの選手は居るだろうか。

結びだが、代表戦の観戦は、正直、Jリーグのサポートより疲れた。やはり、どうしても代表は、クラブほど強い気持ちも入らないから、気持ちが疲労を上回ることが無い。疲れが吹き飛ぶことが無い。むしろ、溜まって行く。まあ、たまにならいいのだろう。次は3年後である。



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