＜展望＞ ブラジル代表 対 日本代表 「ブラジル次第で振り幅大」

　　　　　　
　　　
　　　　
この試合は中立地で、日本人以外はブラジル応援でも、試合中は日本の応援の声の方が多いであろう。欧州遠征の欧州開催だが、ＫＩＲＩＮ杯が移動遊園地になったようなものか。ポーランド国内では、16日、W杯欧州最終予選であるポーランド対イングランドの大一番があり、世論の注目は、そっちのはずである。ブラジル代表　対　日本代表は、あくまで前座とブラジル人気でどうなるかというところ。現地観戦していたら、２試合梯子しようと思えば出来なくも無いが、選ぶなら（ユーロ2012の余韻も相まって）後者になるであろう。あのポーランド人の熱狂は必見であり、おそらく、（W杯欧州最終予選では）このイングランド戦が最高ＭＡＸになるのでは無いだろうか。

日本、ブラジルもベストメンバーではない。日本は２年以上固定メンバーだが、ブラジルは再建途中であり、W杯開催国ゆえ、公式戦が無い難しさがある。ゆえに、そこそこモチベーションを上げて来てもらいたいが、そこは彼ら次第。親カードは日本には無い。日本が集中力を上げて、守備からショートプレスをしてゲームに入ればいいが、公式戦でも無いので、日本ベンチはそれを選択しないであろう。むしろ、バカ正直に組み合うのではないだろうか。スタメンは、特に変わり映えもサプライズもなく、駒野、内田篤人、中村、細貝などが使われるであろう。長谷部誠はすこし厳しいが、ベンチの判断になる。体力的なものではなく、判断や読みに遅延が生じている。ミスすると、焦る悪循環も良くない。

さて、試合だが、立ち上がりは、様子見か、ブラジルが圧力を掛けてくるか、どちらかになる。ブラジルが様子見で来てくれたら、日本は落ち着いてゲームに入れるが、ブラジルがハナからエンジンを掛けてくると、その受け止め方で試合全体が決まってしまう。きちんと組み合えば、そこそこやれるが、受けてしまうと、立ち上がり２失点とか、一気にヤられる可能性もある。ブラジル、アルゼンチンが格下と戦う容の定番といえば、立ち上がり１５分か２０分までに一気にギアを上げて、鬼攻めして、それで得点できなければ、ギアを落として、ボールをサイドに散らしたりして、矛先を変えたりする。９０分、攻守の緩急をつけながら、上手に戦う。

日本としては、立ち上がりに注意して、その後も、一対一の個人勝負を避け、ミスを少なくして、ようやくイーブンになるというところ。スコアが0-0のまま進むのは、どっち有利ともとれないが、７０分まではブラジル、71分以降は日本ということになるであろう。日本の早い先制点はあまりよくない。早いうちに、ブラジルの闘争心に火をつけるのは得策ではない。出来れば、前半をドローで折り返して、後半のブラジルの攻め疲れや凡ミスから得点し、守り守って逃げ切るのが理想であろう。とはいえ、そうなる可能性は、ブラジル次第という事であるのは言うまでも無いが、日本の評価のすべては、ブラジルの出来如何にかかる。その目安として、失ったボールを追いかけるブラジルは、相当、集中していると見ていい。信じられないつまらないミスをしてるのは、気持ちが切れてしまった時。

ブラジルという代表チームは、いつの時代も一定以上の実力を保っているが、共通するのは、強いがゆえに「手抜き」を知ってることが弱点でもある。集中力にムラがあり、乾坤一擲の試合で無い限り、９０分持続して能力を発揮することは無い。また、展開にも左右される。先制してしまえば、その後、加点し、フィニッシュへ持っていけるが、失点して後手を踏むと時間が足りなくなってジ・エンドということもある。強いは強いのだが、その強さを持続するのが下手糞である。もちろん、いつでも試合をひっくり返す爆発力はあり、融通は利く方だ。ゆえに、日本は、まるで勝機が無いわけではなく、（前述してるように）ブラジルのムラがある時間帯にファストブレイクかセットから得点するしかない。結果は気にする必要ないが、日本の勝利もあれば、引き分け、ブラジルの大勝もありえる。当然、結果の振り幅は広くなる。

ただ、試合結果に縛られて、ああだこうだ言いたくは無い。肌感覚で、「ああ、これは敵わないな」「意外とたいしたこと無いな」というのは試合の随所にあるであろう。それを感じられるかどうかだ。実際、試合自体にそんなに差は無いが、微妙な差が大きな差になっているものである。そういうレベルまでは来てる。ただ、その微妙な差を埋めるには、何年、何十年もかかるであろう。個人的には、あと、ちょっとの部分を再確認したいのと、ひとまず、来年のコンフェデレーションズ・カップでブラジルとは再戦があるかもしれないが、その叩き台として据えるといいかもしれない。

【ここの古参・常連さんでない、初回、通りすがりの方へ】
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