2018年・2022年ワールドカップ開催国が決定するが… <FIFAは2026年中国大会まで確定させるのか?>

     
    
       
すでに、過去記事に、ワールドカップ招致合戦の水面下によるプロセスは書いてきた。定まりそうで定まらず、紆余曲折してるが、ひとまず、ここまでの流れを整理してみよう。当初のFIFAの目論見は、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)でW杯を開催したいということ。すでに、大陸持ち回り制を採用して、南アフリカ開催、ブラジル開催をクリアした。次なるFIFAのターゲットはロシアと中国になる。そうなると、FIFAが描くシノプシスは、2018年ロシア、2022年中国が自然な流れ。しかし、中国が2022年に立候補せず、かつ、ロシアの動きは重い。2010年W杯後、ようやく中国から、2026年のW杯立候補をにおわす動きがあった。待てないFIFAも、「ロシア、中国両方が無理なら、最低でも片方で」という妥協案に流れても不思議はない。よって、当初の予定を変更して、FIFAは代役にアメリカを持ち出す。アメリカは、アジア以外での開催という立場が利用でき、欧州との時差少、大箱有り、収益確保という点で、他の候補より計算が立つ。ゆえに、ワールドカップ開催国は2018年欧州、2022年アジア以外に枠が用意され、水面下では、2026年中国も確定?という仮説も浮かび上がる。

ただ、今回は、そんな仮説も、すんなり行かない。もちろん、FIFA内部にブラッター、反ブラッターの派閥闘争があるのは承知だが、今回は、二大会同時の開催国セット決定である。これをブラッター、反ブラッターのどちらが仕掛けたものかはわからない。二大会同時の開催国セット決定は、一応、タテマエの理由がある。それは、開催国に対し、早めに開催決定を通達することで、準備する時間をつくるというものだ。南アフリカ大会では、スタジアム遅延などの問題が浮上し、その教訓だとしている。しかし、このタテマエは、開催国がイングランドアメリカ、日本のような先進国であれば、意味はない。先進国であれば、4年や8年の準備はおろか、1、2年あれば、開催可能である。逆に、準備する時間をつくるタテマエをそのまま使うとなると、当てはまるのは、ロシア、カタールになる。

まず、そのタテマエを本当に使うかどうかがポイントになる。今回、密室のテーブル投票ではなく、五輪方式の投票が採用されるが、本当に馬鹿正直な投票になれば、もっぱら票工作をしたとされるスペイン&ポルトガルカタールなどが有利となる。逆に、(2006年ドイツに決定したような)FIFA主導の支配投票となれば、2018年イングランド、2022年アメリカが鉄板となる。もし、2018年ロシア、2022年アジア以外になれば、シナリオをBRICs路線に元に戻したということになる。

二大会で見ると、2018年が、順当でイングランドになれば、2012年五輪、2015年ラグビーW杯、2018年サッカーW杯となる。わずか7年で世界三大スポーツ大会を行うことになる。羨ましい限りだ。逆に、もし、まさかのイングランド落選となったら、イングランド開催には、ウインブルドンとW杯の開催時期が重なる懸念があり、これがイングランド開催の(表向きの)落選理由にされるかもしれない。フットボールの母国であり、歴史的にFIFAより先んじた組織FAの面子もあるだけに、イングランドの扱いは、大注目になる。はたして、日本の柔道(JUDO)のようになってしまうのか。他では、(すでに南米票を取り込んでいる)スペイン&ポルトガルは、票工作の流れになれば。ロシアはFIFA主導の強引開催になれば。オランダ・ベルギーは、開催には何も問題なく、何かあった場合の保険の意味合いか。

2022年については、2018年立候補取り下げと同時に、なにか見返りをもらったと噂されるアメリカが有力候補であるのは変わらない。そして、対抗は、オセアニア初を狙うオーストラリア。しかし、ここに来てカタールの動きが不気味だ。英ブックメーカーカタールを一番人気のオッズにしているのは、なにか有力な情報を掴んでいるからともいえる。FIFAの開催評価書でも、チーム滞在環境で高得点を取っている。だが、カタールは、本来、国土、宗教、気候問題とインフラ不足懸念で、一番末席に居る候補のはずだ。投資資金は潤沢であるものの、開催は非現実的な側面もあった。しかし、状況は、あの時に似ている。そう、IOCの2014年五輪リオ開催に決まったプロセスである。あの時も、招致レース中のリオの評価は最下位だったが、投票前の時期になって、IOCの評価報告書で、SELL(売り)からBUY(買い)に開催評価が引き上げられた。投票では、シカゴが裏工作にはめられる中、南米初開催も追い風に、そのままパワープレーで押し切り、リオ開催が決まった。もし、オーストラリア、アメリカが落選して、カタール開催となったら、そういったパワープレーがなされたと解釈するのが妥当であろう。そうなれば、二大会同時の開催国セット決定も合点が行く。もし、カタール開催となると、FIFAは広大なマーケットである2026年の中国開催を先送りする事になる。

かたや、2022年に立候補している日本だが、今回、日本がW杯開催国になる可能性は極めて低い。アジアの開催となると、やはり、次は中国か中東になるはず。今回、もし、ミラクルが起きて、日本開催になったら、FIFAの中で問題が生じ、その保険・落しどころとして日本が浮上するというところ。だが、日本開催は考えにくい。日本の世論も、どこか冷めている。韓国は、もっと最悪だ。平和な南北統一というアピールの中、砲撃という地政学リスクの渦中にいる。もともと、彼らは、日本の立候補に対抗するなど、面子上での立候補と見るのが妥当である。とにかく、今回の日本と韓国は、ほぼ頭数合わせでしかない。オーストラリアも、初のオセアニア開催を狙うが、日本同様、放映権上の時差によるマイナス材料をどう払拭するかがポイントになるであろう。個人的には、オーストラリアは日本とは時差もなく、治安も悪くなく、インフラもあるので開催はウエルカムである。


連軸のイングランドアメリカがコケると、2018年はスペイン&ポルトガル(やオランダ・ベルギー)、ロシア、2022年はカタール、オーストラリアの票争い、パワー勝負になる。特に、2022年の決定は、2026年までを踏まえてみると、面白いかもしれない。アジアをどちらの年度でやるかということだ。いずれにしても、開催国がどこになるかで、金満主義・FIFA内部のパワーバランスを見て取れる貴重な機会である。あとは、アジア開催になった場合、アジア枠の数がどうなるかも気になるところだ。いずれにしても、結果が待ち遠しい。

最後に、現地観戦の立場から見ると、2018年はロシア以外なら、どこでもウエルカムである。逆に、イングランド、スペイン&ポルトガル、オランダ&ベルギーの3つの候補をそれぞれやってもらいたいくらいだ。2022年は前述してるようにオーストラリア、アメリカなら、特に問題はなくウエルカムだ。カタールはスイス、アイスランドに並ぶ物価の高い国ゆえ、すこし、腰が引ける。というか、どうなるのか想像すらつかない。


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