同じワールドカップベスト16でも違うサッカー日本代表と韓国との差

    
    
2010年ワールドカップ南アフリカ大会におけるサッカー日本代表と韓国代表の結果は、同じベスト16である。アジアが二カ国揃って、決勝トーナメントへ進んだのは、2002年日韓W杯以来だが、あの時よりも、時代が変わったような印象で、アジアの新時代の幕開けのようにも思えた。

人によっては、グループリーグで2勝した日本、アルゼンチンに1-4の大敗を喫した韓国を比べ、日本のほうが上という見方もできるであろう。しかし、それは結果でしかない。結果がすべてという開き直った部分で指摘しておくと、日本は直前でやりたい闘い方(戦術)を捨て、ギャンブルを仕掛けて結果が出た。逆に、韓国は、これまで蓄積してきた自分たちのやりたい闘い方を貫いた。明確に意図して取ったベスト16と、玉砕覚悟のギャンブルで取ったベスト16には、中身において大きな開きがある。

なにより、韓国は、積み上げてきた土台があって、その土台で闘った。これまでの韓国は、欧州コンプレックスというか、欧州やブランドのあるチームに、やや腰抜けになる傾向があった。しかし、W杯前のスペイン戦を見ても、自分たちの空気でゲームをやっていた。そして、W杯本大会での闘い方もタフだった。ギリシャ戦は何もさせずに完勝。アルゼンチンは相手をリスペクトしすぎ&オウンゴールで、難しい試合になったものの、ナイジェリア戦は、先制されながら逆転し、殴り合いの展開を逃げ切った。決勝Tのウルグアイ戦も同点にしてから、ほぼ韓国勝利の流れだった。スアレスのスーパーな一撃に沈められたのは致し方ない。

翻って、W杯本大会前に日本は土台(チーム戦術)を捨てた。パス成功率が最低で、枠内シュートが良い数字という逆転現象の結果からみてもわかるように、京都、湘南のような堅守遅攻が日本のスタイルでもない。あったのは、急場で修正出来た選手たちの優れた適応能力だけ。わかりやすくいえば、器用だったという事だ。そして、前回大会の失敗の轍を踏みたくなかったという強い想いが集中力を上げた。あのサッカー日本代表の根底には、高校サッカーの部活精神が脈々と流れていた。元から持っているものを呼び覚まして大事にしたとでもいおうか。

ただ、何度も書いてるが、サッカー日本代表の実力の本質は、何も変わっていない。フィニッシュは下手糞、国際経験不足、緩急をつけられない、判断が遅い、安全なところでのプレーを好む。実戦で使えない技術、攻守の切替が遅い、などなど、それは、今のJリーグを見ればわかることだ。

サッカー日本代表と韓国との差は、まだ、東アジア選手権と5月の親善試合による連敗でしか示されていないが、足元のACLでは、すでに韓国クラブが4つの椅子を持って行き、ユースでも、U-20W杯、U-17W杯で、ともにベスト8と世界で結果を出している。フル代表の本丸以外の周辺部分では、韓国は、すでに日本のかなり先を走っているといえよう。もちろん、韓国にも課題はある。過去記事にも書いてるが、(1)フィニッシュの精度を上げる。(2)集中力を切らさない。メンタルで押し込まれない。(3)寄せや詰めを緩めない。というところだが、課題は日本より少ない。

今後、日韓の差は、アジアカップロンドン五輪最終予選、W杯最終予選で明確に現れるであろう。早ければ、10月12日のソウルで。


*過去に書いてる記事を読んだものとして、箸折ってる部分がございます。
*辛口で書いてますので、あしからず。