<選評> 日本代表 0-2 韓国代表  (サッカー日本代表壮行試合)

    
   
   


UEFAチャンピオンズリーグ決勝観戦で、この試合は生で見られず、帰国後に、録画で確認した。先週の<展望>に書いてるように、今回の日韓戦は、W杯本大会における仮想相手にお互いにならず、大会前の調整試合のひとつでしかない。結果については、特にメディアがいうほど大騒ぎする必要は無い。すでに、これまでブログで本質は散々書いてきたし、いまさらという感じでもない。ただ、ここまで連敗すると、日本の大底がどこなのかというところ。北京五輪サッカー代表のように、本番でも、下に新たなフロアがあるのか、それとも、アク抜けして、大底を打つのか。

まず、韓国相手に0-2という敗戦に対して、なにを心配すればいいのかといえば、直近目先のW杯ではなく、半年後のアジアカップ、そして次回W杯アジア予選における日韓の相性である。10月にソウルで三度目の日韓戦が予定されているが、韓国に3連敗してしまうと、かってのように日本が韓国のお得意様になる流れになるかもしれない。すでにユース世代はその流れになっている。また、われわれも、韓国に負けて不感症になってしまいやしないか。すくなくとも、韓国に負けると悔しいという感情が薄れてきているかもしれない。近い将来の大事なマッチ、たとえば、アジアカップ決勝トーナメント、次回W杯アジア予選で韓国とぶつかる可能性は大いにある。そういう意味で、簡単に負けて、敗戦に慣れてしまうのはよくない。


さて、試合は雨だった様子。観戦された方は、ご苦労様です。韓国は、国内で1試合消化し、日本は1ヶ月ぶりの試合で、メンバーも同一ではない。<展望>でも、前半の立ち上がりに、その(たたき良化の)差が出るかもしれないと書いたが、まあ、朴智星のゴールは、たまたまだろう。長谷部と朴智星の接点勝負に、朴智星が勝っただけ。今野のヘルプも、読む前に動かれると、ああなる。朴智星のゴールも、(マンUでの)世界クラスとかそいうものではなく、世界的に、ごく「普通」のシュート&ゴール。

展開も日本にとっては好ましくなかった。サッカー日本代表のチーム戦術は、早い時間帯での失点でリードされる展開だと、苦しい。この試合の日本は、本当にやりたいことの20%も出来ていなかったのではないだろうか。岡崎のシュートチャンスの少なさがその証左である。それでいて、すごい酷く映るというわけでもない。というのも、先制した相手に落ち着かれてしまうと、比較的、日本はボールを持てる分、よく見えてしまう。ここは錯覚しやすいので気をつけたい。相手がフルパワー100%に来てる時の勝負に勝たなければ、他で勝っても気休めでしかなく、意味は無い。

全体的には、球際、ダッシュの一歩、足を出す、ルーズへの反応、察知&読みなどにおいて、イーブン、50:50の状態から、日本は韓国に(意識で)半歩で遅れていた印象。前述したように、どうでも良い場面で日本はそこそこできるが、ここぞという勝負処、大事な局面では、甘さが目立つ。

最後は、交代過多でチームがぐしゃぐしゃになり、味付けというか、目先を変えたに過ぎず、それでいて、本質は変わらない。そもそも交代で戦術が変わるチーム戦術でもない。しかし、阿部、今野をいつまでも急場のCB対応をさせるほど、甘くはないと思うが。ただ、安心を買いたいから、いたしかたないのであろう。個別では、がんばっていた選手とそうでない選手に温度差がややあった気もする。誰とは言わないが、特に、怪我を恐れて、チャレンジ、トライの低下が潜在的にあったかもしれない。

お相手の韓国も、まだまだ出来は万全とはいいがたく、時折、集中力の欠如した、つまらないイージーミスが散見され、今の出来の日本に対して、もっと圧倒できてもいいというところ。強い?日本相手なら、このくらいでいいというラインを自分たちで引いてしまっているようだった。すごい勘違いもいいところ。

まあ、なにはともあれ、これが本大会直前の試合でなくて良かったというところ。次のイングランド、コート・ジ・ボワール戦も、あくまで調整試合。相手の名前で、日本のモチベーションが上がってくるであろうし、負けても、騒ぐ必要の無い相手である。日程も長距離移動付の中5日、中3日できつい。その分、むしろ、大底を打って、(今の日本には欲しい)浮上のきっかけになるかもしれない。

蛇足ながら、ちょっと欧州の空気を吸ってきただけにもかかわらず、帰国後、日本のフットボール界にあらゆる違和感、ギャップや乖離を感じるのはなぜであろうか。特に、メディア露出において、日本代表が芸能タレント扱いされているのは、(良い悪いではなく)すこし、恥ずかしい。あれでは、スポンサーやメディアの玩具だ。また、個人的に、欧州の街並みの中に居ると、サッカー日本代表がちっぽけな存在でしかなく、自分がいかに内弁慶な視点でいるのか、改めて気づかされた。




*抑えて書いてます。過去記事を読んだものとして、端折ってる部分がございます。