サッカー日本代表と本田圭祐の居る舞台

     

     


前記事で書いてるように、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝のインテル戦において、本田圭祐は、ほぼ何も出来なかった。練習で左足首を負傷するという不安を抱えたまま試合に臨み、ベストではない。おまけに、(モウリーニョの刺客として)スタンコビッチがお目付け役に来てしまい、万事休すだ。

前半の立ち上がり、インテルは、可もなく不可もなくゲームに入っていた。そして、CSKAもそうだったが、アウェイのCSKAとしては、不可でなければOKである。よって、前半は、CSKAにも見えないチャンスはあった。クラシッチのドリブルは、サイドだと、チャンスに発展していたし、それなりにインテルと組むことが出来た。だが、CSKAは波に乗れないインテルをそのまま波に乗せないで90分を終えられるほどのチームとしての狡猾さまでは持ち合わせていなかった。後半17分から33分あたりまでのインテルの猛攻をただただサンドバックのように撃たれ、ミリートにも決められた。

とはいえ、この日のインテルは、後半にようやくエンジンがかかったものの、3、4点入ってもおかしくはなかった。それだけ、GKアキンフェイフのナイスセーブとインテルのシュートミスにCSKAは救われていた。本田圭祐のいう、0-1というのは、ラッキーな僅少差なのかもしれない。


その本田圭祐において、この試合で残念なのは、シュートゼロであることと、パスの意識の方が強かったということ。それだけではない。イグナシェビッチフリーキックを譲るという消極性はどうかと思う。もちろん、フォア・ザ・チームは大事だが、あのシーンで、インテルがもっとも嫌なのは、本田圭祐が撃ってくることだった。ゴールを決められなくても、バーを掠めれば、それなりのプレッシャーをわずかながら心理面で与えることになる。あそこで、下手なフェイクを入れたら、むしろ、インテルは、助かるわけであり、今日のCSKAは何も怖くないという、逆心理を与えてしまう危険性もある。格、戦術、選手層、資金など、両クラブに差はあるが、チャンピオンズリーグの準々決勝以降は、そういう詳細な部分で勝敗が決まる舞台である。

目に見える結果が出てない以上、日本メディアは、尻すぼみであろう。ただし、この試合の視点をいうと、スタンコビッチと対面した本田圭祐は、濃密な69分だったと思う。来週、セルビアと長居で親善試合をするサッカー日本代表だが、当然、スタンコビッチは来日などしない。二線級のセルビアと戦う日本代表と、ガチ本気のスタンコビッチと勝負した本田圭祐。正直、チーム経験より、本田圭祐の経験の方が勝ってしまう現状は、どうかとは思う。居る場所が違いすぎだ。サッカー日本代表に、その自覚も希薄だ。