2018年、2022年ワールドカップの日本招致だが、実は…

         


サッカーの2018年、2022年ワールドカップの日本招致に向けた支援を12月8日に閣議了解する方向で最終調整しているそうだ。今回の日本の立候補は、どうしてもやりたいというものではなく、立候補できるならしておこうというレベルであるのが妥当な見方である。だが、もう、この辺で、妙な空気を醸し出している。

2018年、2022年ワールドカップの日本招致だが、実は…日本開催になる公算は高いと見ている。ブラッターが、決勝会場8万の条件にこだわらない方向性を示したり、共催を含む候補の並べ方を見ても、不自然極まりない。また、東京五輪が流れたにもかかわらず、日本がW杯立候補を取り下げていないのは、あきらかにおかしい。

それもそのはずだ。もともとFIFAとしては、放映権に絡む放映時間(時差)がネックとなるオーストラリア、中国、日本、韓国の悪材料をどう織り込むかであり、それを解決すれば、あとは、中国が立候補すれば、間違いなく2022年は中国大会になっていた。しかし、中国が立候補していないというのがFIFAの誤算になった。中国が(急成長に伴うバブル警戒からか)立候補しないため、その空いたポジションの調整をFIFAはしなければならない。そうなると、プロ野球ドラフトのハズレ1位ではないが、浮上するのが日本、アメリカになる。

そもそも一大会単年で決めるところを、二大会の開催地を同時に決めるというのは、狙いがある。つまるところ、二大会セット決定で、話題を分散し、不自然な動きの矛先をブレさせるのが目的だ。たとえば、サッカーの母国(2018年)とサッカー不毛の中国大会(2022年)とか。また、二大会セット決定により、放映権に絡む放映時間(時差)の問題をグロスで処理する腹積もりだったのは明らかである。たとえば、2022年中国大会の放映権が(時差問題により)叩かれたとしても、2018年イングランド大会の放映権を高騰させればいいのである。それでとんとんになる。

また、2002年はFIFA主導による日韓共催を日本に強いたため、FIFAは日本に借りがある。ブラッターが政権を続ける限り、その借りは残る。可能ならば、在任中に返してしまい所であろう。すでに2018年は欧州開催のイングランド大会がほぼ濃厚だが、ラグビーワールドカップのようにイングランド大会、日本大会とはなる可能性は大いにある。

懸念があるとしたら、日本の開催熱だ。日本サッカー協会がなんだか一人で動いている印象でしかなく、もっと正確に言うと、犬飼会長が一人で張り切ってるだけとも。唯一、日本開催を後押しするモチベーションがあるとしたら、単独開催という部分である。前回の2002年は韓国に邪魔され、なおかつ、韓国経済(アジア通貨危機911テロによるデフォルト)に助け舟を二回も出すというお人よしぶりを発揮した日本が、単独でやるというのは、ひとつの根拠になる。とはいえ、それが開催熱には繋がりにくいであろう。

とはいえ、開催熱もどうだか。IOCですら、開催熱を重視するといいつつも、最終的には恣意的な勘定・妥算で強引に決めている。ブラジル・リオ五輪決定も、北京大会に続き、成長著しいBRICsで利益を吸い上げられるうちに吸い上げるという狙いである。開催評価を直前にリオ1位にするやりかたなど、不自然極まりなかった。今回の日本立候補も、すでに不自然な動きが散見されている。開催熱などどうでもいいから、箱を開けて手を上げれば、日本に決めちゃいますよ。といわんばかりだ。個人的には、もう出来レースになっているような気もする。

個人的には、宮城県が開催地に立候補しなかったのは、うれしい限りだ。