<展望> 日本代表 対 チリ代表・ベルギー代表  KIRIN杯

  
 
親善試合で、わたしが展望を書くことは少ないが、今回は、書いてみよう。このKIRIN杯も今年で30年目を迎える。当初は国代表とクラブが綯い交ぜになった(日本のサッカー界が世界と手合わせできる)大会だったが、92年から現行の代表強化による形式に移行し、その後、中断もなく続き、今年で節目の30回目となる。TOYOTA CUPが(姿を変えて)なくなっただけに、このスポンサードされたカップ戦は、貴重な存在になっていくのだろうか。

KIRIN杯緒戦の相手となるチリ代表は、現在、W杯南米予選で3位につけている。おそらく、本大会に顔を出してくるであろう。日本と同じ組になる可能性もゼロではない。6月には両者、お互いに予選もある。そういう意味で、彼らとこの時期にやれるのは大きい。以前、2008年1月に一度戦った時のチリ代表とは、違う状態であることを期待している。

ジーコ退任以後、サッカー日本代表の親善試合において、(その時点での実力を測れた、課題を浮き彫りに出来たという点で)成果のあった試合は、コロンビア代表(埼玉0-0)、ウクライナ代表(札幌1-3)くらいのもの。今回は、それなりの成果を期待したい。日本が試合に勝つことではなく、「世界とはこういうものだよ」的な空気をチリが見せてくれれば。まずはそれを期待したい。そして、今の日本が本大会でどれぐらいの位置にいるのか。親善試合で見出しにくいのは招致だが、僅かでも感触を得られたら、ラッキーである。

ベルギーについては、2002年W杯での戦いを境に両者の実力がどれだけの距離になったかに注目したい。2002年、埼玉スタジアムで日本と戦って、2-2で締めくくったベルギーは、まぎれもなく本物だった。今回、彼らがどのように変わったのか。日本との差が開いたのか、変わらないのか、それとも…。ベストで来るのは難しくとも、古豪がどのようなったかを確認する機会とも取れる。

日本代表の選手個々については、いまさら何を書いても毎回、同じになるので、割愛するが、本田が得点能力を期待して抜擢されている点が唯一注目だ。おそらく、彼の前へ向かうメンタル、主体的な姿勢を買っているのであろう。行け!と言われても前へ行かない選手が多い中、彼は希少かもしれない。本来であれば、(調子の良い時の)山瀬がその役割なのだが、果たして、本田はカミソリになれるのか。この時期にこのタイミングで2ゴールでもしようものなら、おそらく、来年、彼は南アフリカへ行くであろう。

蛇足ながら、テレビ実況で連呼されるであろう、「(山田が)18歳」という文句は、わたしを辟易とさせるであろう。今、若さやスターが必要なのは市場の小さいマイナースポーツであり、サッカーに、そういった話題性は不要だ。欲しいのは話題ではなく、(W杯本大会での)勝利とゴールという事実のみ。