コンセプト、コンパクト、シンプルというが…

  
 

サッカー日本代表・岡田監督は、コンセプト、コンパクト、シンプルという言葉を多用するが、あれ、聞いていて、わかったような気はするが、実際、言った本人でも何言ってるのかわからないのでは。昨今、実況、解説も含め、もっともらしく、心地よい単語が一人歩きしてるサッカー界は、ボキャブラリーの新語争いをしているようだ。あまりさしたる意味もなく、むしろ、手軽で簡単な単語より、説明臭くくどくどしていた方が、いいのかもしれない。


コンセプト、コンパクト、シンプルという言葉を紐解かずとも、岡田監督のやろうとしてる核を簡単に言えば、①最後までファイトすること。②攻守の切り替えを早く、③スタミナ、運動量豊富であることでしかない。見てれば、誰でもわかるし、いたって難しいことではない。むしろ、原点といえるだろう。よって、新しくもなければ、(言葉は悪いが)労働者である。まず、そこがスタートで、はじめてコンセプト、コンパクト、シンプルという言葉が、なんとなくフィットしてくる。選手が特にスペシャルだったり、うまい必要はない(そうであればそれに越したことは無いレベル)。

攻撃では、全員、特に前線の4人が人工衛星のように動き回り、ポジションを変えて、相手に捕まえさせない。中盤は常に寄せを激しく、プレスをしかける。これは生命線で、かつ、サイドが駆け上がって、オプションとして攻撃に変化をつける。また、攻撃オプションとして、セットプレー(CK、FK、PK)が長年の日本の武器、特色としてあるのは心強い。高さではなく平面の勝負、試合前に戦う答を用意するのはオシムと同じ。ジーコヒディングのように展開に応じて変化をつける無謀さ、器用さは無い。<選評>にも書いたが、(ジョホール・バル以外)交代の采配で勝負することはない。

守備に関しては、もはやあれこれ手をつけず、放置状態(中沢と闘莉王のポテンシャル頼みとも)。組織によるオフサイドの仕掛けはなく、せめてマークの交換をするだけ。むしろ、中盤で人数をかけて、相手を挟み撃ちでディフェンスして、最終ライン2人に危険や責任を及ばせない。よって、中盤の運動量が落ちたり、集中力緩んだり、やすやすとパスを通してしまったり、イージーミスをすると、たちまち大ピンチになる。また、CB二人が上がった後の、カバーリングのミス、マークの受け渡しの課題などはあるにはある。

とまあ、詳しく書けばもっと長くなるが、こんなところが岡田サッカーの大宝律令である。先日のオーストラリア戦より、6月のコンフェデ2009に出場できれば、日本の立ち位置はもっと明確にわかるはずだが、それができない以上、本番でのぶっつけになる。某五輪代表監督のように、なにも容(かたち)がないよりはましだが、攻める手駒は少ない。その分、一度、封じられてしまうと手詰まりになる。


現行の代表の面子が、ギリギリまで考え抜いた選考であるとはいいがたい。98年に三浦カズを切ったから、野球の星野監督のように心意気とモチベーションで選手を選ぶことはないだろうが、前述したように、ファイトする選手、最後まで動く選手が選考の基盤にある。これから、誰が追加で入ってくるのか注目だが、09、10のJリーグ・シーズン動向、クラブの成績も代表選出に大きく関係してくるであろう。個人的に、前線の4人が、田中達也、柏木、中村俊輔、山瀬(や家長、李、森本)で駄目だったら、諦めはつくと勝手に夢想している。(ただ、俺様本田では納得できない)

日本代表の現状は、確かな実力というよりは、やってみないとわからないというところ。嵌れば、予想以上の結果もあるだろうし、予想通りの残念な結果も十分にある。少なくとも、世界トップ8(伊、蘭、独、西、仏、英、ブラジル、アルゼンチン)に引き分けられるまでは持っていけたとしても、あとは、フットボールの文化や社会背景になるのかもしれない。まあ、ブラジル、アルゼンチン、スペインには、どうシュミレーションしても勝てる気がしない。