「ベスト4へ行って、世界を驚かせてやろうぜ」

   
 
昨夜、NHK-BSで、「サッカー日本代表岡田武史監督の決意~アジア最終予選 そしてW杯ベスト4へ~」なる番組をやっていて、さきほど録画を見終えた。内容は、豪戦を前にした岡田監督のインタビューを中心に、代表監督就任からこれまでのプロセスを回顧するというもので、numberの映像版のようなものだ。

番組中に、脳の旧皮質と新皮質、無極限のゾーン、などといった単語が出てくるが、岡田監督は、あれこれ頭で考えるのではなく、本能で感じなさいということをチームに植え付け、自身自らも頭だけで考えず、何かを感じながらチーム作りをしているというのが印象的だった。もちろん、(だから)世界と互角以上に戦えるかは別問題だが、なにもしないよりはマシである。


「ベスト4へ行って、世界を驚かせてやろうぜ」

サッカー日本代表・岡田監督のこの言葉を本気で信じている人は、どれぐらいいるであろうか。おそらく、三分の一にも満たないのでは。かくいうわたしも、本大会では、日本のグループリーグ敗退を予想している。実力を測る定規となるコンフェデレーションズカップ2009にも出場しない以上、現在は未知数であるが、現実的には、グループリーグで一勝すれば、御の字ではないか。むしろ、一勝したら、私は相当、驚く。

ベスト4になるには、短期決戦の5試合中、3つ、ないし4つ勝たなければならない。最低でも2勝1敗2分か1勝1敗3分。数字のロジックでは難しいことではない。流れや勢いがものをいう時もあるし、組み合わせや日程、対戦順の運もあるであろう。可能性はゼロではない。つまるところ、シード相手にどう戦うかである。欧州の国々も、開催が欧州でない分、彼らのホームの空気にはなりにくい。どちらかといえば、南米に有利か。


岡田監督のやるフットボールは難しくもなければ、複雑でもない。スーパーテクニックは不要。これといった攻めの容は無い。チームの団結・忠誠心を重要視し、試合では、攻守の切り替えを早く、寄せを厳しく、最後までバテずに走り、ファイトするのみ。目立たないが、走る運動量はオシム時以上だ。布陣は、4-2-3-1で、最終ラインの守備はマンツーマンで、ゾーンではない。意図したオフサイドトラップもない。ボランチの二人がある意味、生命線で、ここが崩れるとジ・エンド。全体的にスタミナを要求されるが、ボランチは運動量のある選手が必須。前の遊撃手4人は運動量豊富に、佐川急便のセールスドライバーのごとく動く、走る、飛び込む。よって、(オシムのごとく)平面の勝負に徹し、高さ勝負に持ち込まない。あとはおまけ程度のセットプレーがあるくらい。

これが、はたして世界に通用するかは、やってみないとわからない。相手にもよるであろうが、逆に、まるで通用しないかもしれない。もし、これで通用しなかったら、日本は永久に世界に勝てないかもしれない。そういったギャンブルを仕掛けているといってもいい。もし、ベスト4へ行ったら、間違いなく、2014年まで岡田監督は続投となるであろう。下手をすると、国民栄誉賞なんていうことも十分に考えられる。

「ベスト4へ行って、世界を驚かせてやろうぜ」

はたして、この言葉を信じ、(決勝狙いの人を除いて)日本TST6や日本TST7を狙う人はいるのだろうか。