<展望> EURO2008 決勝

  

見ているこちらとしては、決勝というのはすばらしい内容を期待しがちだが、基本的に、決勝は地味になりがちだ。双方がどれだけ失うものを持っているか、どれだけ欲と自制心をコントロールできるかが大きく作用してくる。よって、まともな精神で望む方が難しい。もちろん、どちらが強いかどうかではなく、いかに平常心で望めるかにかかってくる。そういう意味では、高校サッカー高校ラグビーの決勝というのは、(コンテンツとして)なかなか健闘しているのかもしれない。

とりあえず、優勝へ王手を掛けているのはドイツではなく、スペインであろう。先制点が鍵だが、スペインがこれまでやってきたフットボールを決勝でも継続できれば、スペインの思わぬ快勝になるだろう。ドイツが勝つならば、スペインがまったく自分たちのフットボールを出来なかった「やっぱりね」のケース。つまり、自滅にあるだろう。他には、ドイツがポルトガル戦のように、立ち上がりから圧倒してくるパターン。

わたしが好むゲーム展開は、スペインが先制して、ドイツがゲルマン魂で逆転して、終了間際にスペインが追いついて、延長でいずれかが勝ち越すような展開。最悪なのは、どっちともつかず、しまりの悪い展開に流れ、ただ、時間だけが過ぎ、なんとなく延長になって、PKの強いドイツが最後に勝つパターン。


下馬評ではスペインだが、今大会は下馬評がことごとく覆されている。もしくは裏切られてきた。正直、どっちが勝ってもいいが、一番、しっくりくる優勝のシナリオは、これまで一度も負けず、自分たちのリズムで快勝してきたスペインかもしれない。とはいえ、スペインがあっけなく敗れても不思議がないのは、過去の幾多の歴史が証明している。もちろん、ドイツがこの決勝で有無を言わさない良いフットボールを見せれば、なにも文句はない。

スペインはビジャが出場できないが、これがどう出るか。セナを起点に、ファブレガス、イニエスタ、シャビ、シルバでも十分に好機は作れるだろう。不調のトーレスがゴールを決めたら大きいかもしれない。ドイツはシュバインシュタイガーポドルスキの両サイドの働き次第だが、セットプレーをモノにしたいところだろう。クローゼあたりが決められるか。スペインが優勝したら大会MVPはセナかプジョル、ドイツ優勝ならバラックというところだが、現地でのMVPは、おまけ程度のものである。

いずれにしても、ゲームが壊れないでもらいたい。


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決勝が行われるウィーンのエルンスト・ハッペル・シュタディオン。