ワールドカップアジア最終予選ドローが決定したが

  

かなり偏ったドローの印象。日本はラッキーといえよう。客観的に考えて、これまでのワールドカップアジア予選で凌ぎを削ってきた(&前本大会出場国である)サウジアラビア、イラン、韓国とやらなくて済むのである。おまけにアジア王者のイラクはすでに姿を消している。あきらかにこれまでのアジア予選の色とは違う。逆に韓国はかなり厳しい。B組は紛れもない死の組。

日本とサウジのポッドを決めるドローがすべてだったのかもしれない。日本がサウジの位置に行っていたら、かなり厳しかったはず(緒戦でイランと対戦)。よって、A組を厳しいと言っていたら、話にならない。一度は、どこかで自力突破が消滅するようなドキドキした展開を望むが、このあたりは、三次予選同様、日本代表がもたついて空気を読んでくれるかもしれない。2位以内となれば、基本的に勝ち点は15から17取れば間違いない。8戦で5勝すればいい。グループが団子になるか、一強、二強状態になるかにもよるが、単純計算でシュミレーションすると、5勝2敗1分、4勝1敗3分でなんとかなるのでは…。2敗まではOK、場合によっては3敗も。

■A組■
オーストラリア
日本
バーレーン
ウズベキスタン
カタール
カタールとは、日本が(過去の対戦成績で)唯一、勝ったことのない相手であるばかりか、(カタールサイドには)五輪におけるハンドボールの因縁もあるかもしれない。バーレーンは、三次予選で予習済。

仮に、オーストラリアに2敗しても、残りの三カ国との対戦成績を考えることも可能。移動も、オーストラリアは、ほぼ時差がなく、嫌な中東遠征は2回というのはまずまず。なにより、オーストラリアと同組になったことは、強化の意味では喜ばしいことである。これまでワールドカップのアジア予選は、ワールドカップ本大会に直結するような仮想相手はいなかった。いわゆるアジアの鎖国状態だったのだが、オーストラリアが相手であれば、本大会を見据えた仮想アメリカ、仮想イングランド、仮想スウェーデンになる。予選の段階で、本大会を見据えた仮想相手に、本気モードの対戦が出来るのは大きい。また、サポーターもオーストラリアならば、行きやすいし、観戦には(唯一英語圏であるし)経済的にも一番インフラの整った国といえよう。唯一の懸念は季節が真逆にあることくらいか。

日本が第二ポットになってたことで、日程は、きつい予想だったが、そうでもなくなった。
■2008年
  9月6日  バーレーン 対 日本
10月15日  日本 対 ウズベキスタン
11月19日  カタール 対 日本

■2009年
 2月11日  日本 対 オーストラリア
 3月28日  日本 対 バーレーン
  6月6日  ウズベキスタン 対 日本
 6月10日  日本 対 カタール
 6月17日  オーストラリア 対 日本
まず、寒い時期のホームで常夏のバーレーン、(オーストラリア)とやれる。

心配は、懸念された6月に3連戦があること、そして、Jリーグとの絡み。6月の3連戦は、中東が絡んでいないため、中東に行く必要がなくなったのは、望外の幸運。時差対応はウズベキスタン後の一回のみで済む。Jリーグの絡みは、10月15日前後の週に(日本のクラブが勝ち進んでいたら)ACLの絡みがあること。また、年内にオーストラリアと当たらないものの、Jリーグ休止期間中にオーストラリアとやらなければならない。このあたりは調整が難しいかもしれない。

一番の懸念は、もし、日本が3位になった場合、アジア内プレーオフに韓国、イラン、サウジアラビアがやってくいる可能性はあることだ。特に韓国になるケースはありえなくない。よって、プレーオフを避けたい想いがプレッシャーになる可能性があるかもしれない。とはいえ、三次予選の延長のようなバーレーンウズベキスタンカタールを退けられないようでは…。言い換えれば、プレーオフに回るようでは、ジ・エンドともいえる。可能ならば、6月10日のホームで本大会出場を決め、オーストラリアとのアウェイ戦が両者ともに消化試合(観光旅行)になればいいが…。

*あくまで相対的に日本は楽だと論じてます。予選の本質そのものは厳しいです。


■B組■
韓国
イラン
サウジアラビア
北朝鮮
UAE
ここは、最終予選らしい風景が出来上がっている。他人事ながら面白い組である。韓国のワールドカップ連続出場も、もうそろそろ途絶えてもいいような気もするが、それも可能性としては低くない。韓国の苦手・サウジアラビアに、難敵のイラン、三次予選で堅守に生まれ変わった北朝鮮ブルーノ・メツ率いるUAEと、ここはどこが勝ちぬけても不思議はないだろう。韓国、北朝鮮は、中東に3回行かなければならない。ご愁傷様。

ちなみに、B組は、すべてワールドカップの出場経験があり、A組はオーストラリア、日本以外は出場経験がない。特に韓国は、イランとのアウェーゲームでは2敗1分で、(フル代表では)まだ1度も勝ったことがない。サウジアラビアにいたっては、過去19年間は3敗3分で、韓国にとって、サウジアラビアは完全な天敵となっている。



ちなみに、ワールドカップのチケットは、(開催国の事情にもよるが)来年の3月頃に申し込み受付が始まる。このアジア10カ国のTST(追っかけチケット)は販売受付され、敗退後にキャンセルされる。販売代理店は、いまのところ、恐怖のバイロム社の予定。その頃は、どのようなグループの様相になっているだろうか。また、サウジアラビアにいたっては、19年間で3敗3分と勝てておらず、完全な天敵となっている。