トゥーロン国際大会を終えて、見えてきた五輪の光

  

トゥーロン国際大会は、わたしも、結果を知った後で、録画をざっと流して見た程度なので、きっちり見てはいないが、結果的に、日本は2勝3敗(敗戦はPK含む)。完敗はチリ戦だけだった。五輪本大会に出場するイタリア、コートジボワールに勝てなかったが、90分で負けてもいない。もちろん、埋めきれない差は確実にあり、今の五輪代表は、なんとなくやらされているような印象は否めないが、それでも、試合を重ねるごとに、選手の気持ちが見え隠れした。去年のU‐20の雰囲気に近づきつつある。

たしかに、1点を争うゲームで勝ちきれない部分は大きな課題だ。それでも、この結果をポジティヴに受け取っている。むしろ、イタリア、コートジボワールに大敗しなかった事を評価したい。わたしが、トゥーロン国際大会を見て感じたのは、五輪本大会とトゥーロン国際大会は、ほぼイコールになるということである。もちろん、プレ大会だから本番ではない。モチベーション、選手がベストメンバーではない、などの割引材料はあるが、肌と肌がぶつかりあった感触は、そうそう覆るものではない。

すくなくとも、今回が惜敗で、次は本番だから大敗するということはなくなった。惜敗だから、辛勝するかもしれないし、再び、惜敗するかもしれない。そういうことである。これは、今回、勝ったオランダにもいえる。すくなくとも、五輪本大会での日本の0‐5の大敗はなくなった。実際、スウェーデンで開催中の4カ国対抗で、オランダは精細を欠いているようだ。(だからというわけではないが、すくなくとも、今回の日本とオランダに、フル代表ほどの絶望的な差はなく、十分、勝ち負けの勝負になる)


トゥーロン国際大会の収穫は、チームとして、一時期に合宿を張れたことであろう。2006年のアジア大会以来だが、一週間以上の長期で選手と監督が居られ、(フランスの片田舎とはいえ)5試合も出来たことが、チーム経験の上でも大きかったはず。なにより、反町監督が、代表監督として現場を経験したことが大きい。国内でやる客寄せパンダの親善マッチに比べれば、何倍も価値はあった。また、情報収集も出来たであろう。

もちろん、五輪本大会は別物と考えて、兜の緒を締めるのは、当然だが、わたしは、五輪本大会でも、そこそこ日本が戦える確信を持った。オランダ、ナイジェリアとも組み合えることだけは確認した。むしろ、彼らに勝ち負けできる確率は上がったと見ている。当初、わたしはメダルは不可能で、ベスト8がせいぜいと予想していたが、(対アルゼンチンを避けられる)グループ1位で通過すれば、メダルも見えてくる。(もちろん、試合は水物だから、3敗もありえる)

また、今回のトゥーロン国際大会は、日本のみならず、アジア他国の物差しにもなった。おそらく、五輪大会は、日本、中国、韓国がベスト8にそろい踏みになる可能性すらあるといっていい。ひょっとすると、今年の流行は、ベスト4に3強?なのかもしれない。