今のは、オフサイド? オフサイドじゃない?

バスケットやハンドボールと違い、サッカーにはオフサイドというルールがある。GKと一対一の位置で味方からパスを受けてはいけないルールである。おそらく、試合観戦後にファン同士が語る内容に、オフサイドについて語られる場合が意外と多いかもしれない。場合によっては、長々と論じられる場合もある。ただ、「オフサイドではないのにオフサイド」という場合より、むしろ、「完全なオフサイドなのに、オフサイドじゃない」場合が意外と少なくないように思える。

だいたい、ファンは贔屓目や敵愾心で見てしまうため、オフサイドじゃないのにオフサイドを取られると、あれこれ文句を言いたくなるものである。だが、ビデオで見返せば、(一部の方を除き)線審はきっちり見ていて、正しい場合が多い。どっちとも取れない場合はだいたいオフサイドになる。野球でアウト、セーフ。ボール、ストライク、どっちとも取れる場合は、アウト、ストライクにしてしまうのと変わらない。

逆に、完全なオフサイドにもかかわらず、オフサイドじゃない場合は、文句を言ったり、抗議しても、意外とむなしいものである。そもそもオフサイドはぎりぎりだから、あーだこうだ言い合えて、論戦が白熱するのであって、余裕で完全なオフサイドにもかかわらず、オフサイドじゃないとされると、逆にあきれてしまい、しらける。

わたしが今まで見ていて、一番すごかった「オフサイドなのにオフサイドでなかった」シーンは、韓国代表とどこかアジアの代表が闘った試合で、韓国のプレイヤーが敵ゴールマウスと同一線上にいながら、(その完全なオフサイド・ポジションで)パス受けて、バックパスして、ゴールが生まれたシーンがそうだ。当然、敵ゴールマウスと同一線上にいるため、彼は敵GKよりもさらに前にいたのだ。自分の前に誰もいない状態でボールを受けておきながら、オフサイドにならないのだから、これは主審、線審ともに大チョンボの誤審。(完全な待ち伏せだった)究極のオフサイドだった。

オフサイドじゃない」
オフサイドだろ!」

そう口にすることで、言い訳というか、(負けたりすると)すこし慰められる部分もあり、意外と便利なクッション・ツールなのかもしれない。