<総括> ラグビーワールドカップ2007

南アフリカの優勝でラグビーワールドカップ2007が終ったが、残念ながら決勝はつまらなかった。南アフリカはラインナウトは完璧で、イングランドはマイボール・ランナウトすら満足に取れずに、ミス連発という、(比べるのもおかしいが)まるで早稲田対関東学院の試合のようで、決勝のクオリティにはなかった。むしろ、開幕戦、イングランド対オーストラリア、フランス対オールブラックスの方がよほど面白かった。

決勝はリスクを賭けられない。そして、実況でも清宮が言っていたが、自分達の意図のままにプレーが出来ない。よって、ハイパントによる偶然に賭けるしかなくなる。よって、あのようなロースコアの展開は決勝のセオリーであり、そういう意味では決勝の「線」ではあった。だが、決勝が駄目にした要因として、主審がゲームを壊していた。生真面目で空気の読めない主審。細かいつまらないところをジャッジして、ハイタックルを見逃すなど、ジャッジ・バランスに欠いていた。

なにより、あの後半たちあがり、イングランドのトライをノートライとしてしまった時点で、すべてをぶち壊された。もし、あそこでビデオ判定など採用せずトライを認め、8-9、9-10で試合が進んでいたら、ノーサイドまで息を呑む展開だったに違いない。おそらく、南アフリカイングランドが10回対戦しても、イングランドは2、3回くらいしか勝てないであろう。それがわかっているから、6-15になった時点で、試合の興味は失せた。

しかし、優勝した南アフリカのソツのないラグビーは、サッカーのイタリアを髣髴とさせる。見ていてあまり面白くない点も同じだ。おそらく、相手がオールブラックスだったら勝てたかどうか。とはいえ、あの計ったようにタッチラインを切らないキックは見事だった。伏兵ではアルゼンチンの躍進には拍手を送りたい。3位決定戦も、開催国として優勝を狙って敗れたフランス、ベスト4で満足し、さらに前進したアルゼンチンの構図は明らかだった。

また、今大会は、ユニオンがきっちりベスト8、ベスト4を堅守できなかった。ユニオン以外の国も、ベスト8であれば、手の届く位置まで来ているということが伺え、今大会が、そのユニオンの亀裂の節目となる大会になればいいかもしれない。日本については前回書いたので割愛するが、主審のレベルは褒められるものではなかった。ただ、フランス開催というのは大成功であろう。日本で開催していたら、閑古鳥のスタジアムが続出していたかもしれない。

次回開催はニュージーランド。日本とは時差をあまり気にせず、深夜に見る必要がないのが助かるが、すでにオールブラックスの優勝で決まりという出来レースの大会になりそうだ。はたしてイングランドはどうなっているだろうか。


*良いか悪いかは別として、意外と清宮の解説は独特で面白かった。地でやってるのがありあり。