<選評> 日本 1-2 カタール

(前記事で、流れから日本は負けないと書いたものの)わたしの6月に書いた五輪最終予選の予想では敗戦である。予定通りであり、特に驚きも落胆もない。日本が負けるとしたら、力負けでもなければ、選手云々でもなく、第三者(主審や監督の采配)や外部要因(気候)や事故(退場)だと思ったが、ロスタイムでのPKは、まあ、仕方が無いであろう。そもそもチームは即席モードで反町に代表監督としての能力はないのだから、この結果はわたしのシナリオ通りである。むしろ、最終戦サウジアラビア戦が消化試合にならなくてよかったとさえ思っている。

このまますんなり行くより、苦労してプレッシャーを感じた方がいい。これは最終予選である。
その方が温室育ちの若い世代にも良い薬になる。

現実として、カタールとは総得点による差で2位となっているだけで、日本の地力突破が消えたわけでもない。カタールが次のサウジアラビアとのアウェイで簡単に勝てるとは思えないし(おそらく引き分けであろう)、日本も(ベトナムのアウェイはやりずらいが)ふつうにやれば勝てる。11月のサウジアラビア戦も相手としては相性もよく、試合はホームで、季節も初冬だけに勝ち点は計算できよう。(ただし、カタールと同時刻キックオフは難しいか)

勝ち点、総得点、得失点差が同じの場合、最終的なIOCのレギュレーションがどうなのか不明だが、カタールとの当該対戦国のレギュレーションでは、合計スコアは2-2だが、日本はアウェイゴールを取っている。勝ち点、総得点、得失点差が同じならば、アウェイゴール・ルール採用かプレーオフになるであろう。


さて、試合だが、立ち上がりから、前線へのプレスが利いていて、ホームであるカタールは自分達のサッカーはほとんどさせてもらえなかった。真剣勝負の度合いは、その数時間前に大阪で行われた日本対エジプトより上であるのが伝わってくる。日本の士気は高かったといえよう。

しかし、それでも寄せ集め感は拭えない。連携はいつも通り中途半端の結果オーライ。4-2-3-1のシステムも悪くは無いが、選手の持ち味を殺しているようにも。選手の持ち味を生かすのではなく、あくまでシステムで勝負するやり方が、かえってチームを殺しているとも言えよう。柏木や内田などは普通に4-4-2でやれば、十分に仕事できるはずなのだが。

反町の采配もどうだろうか。交代がいらないくらいの前半の出来だったが、柏木は疲れていても、最後までピッチに置いておくべき。もしくは、もっと早くに交代させるか。この試合で彼はトップ下とボランチの両方、二人分の仕事をしていた。交代させるならば、あの終盤はどうだろうか。柏木に注文をつけるならば、遠慮しないことである。チームの中心として自覚し、声を出し、シュートの意識を強く持つこと。上がった内田とはあうんの呼吸で合っていた。

しかし、かえすがえすも、去年のドイツW杯、今年の二つのワールドユースといい、短時間にぽんぽんと失点してしまうメンタルの弱さ、試合を運ぶ経験の無さが目立っている。

敗戦によって、本来、更迭のはずの反町が続投のようだが、今、更迭しても、後の引き受け手がいないというだけである。もはや、彼を監督に選んだ時点でレールは踏み外しているのだから、後任の成り手は貧乏くじをひくだけである。ただ、チームとして組み立てられなかった反町のせいで出場を逃すとなると、腸煮えくり返る気もするが、あのような監督を選んだ日本サッカー協会・K淵の重責の方を問いたい。

監督がぴりぴりしているチームは、あまり良い結果にならないのだが、この状態で森本招集とかやめて欲しい。最後に、テレビ朝日の柏木の持ち上げようは、本当にわかって言ってるのならいいが、サッカーを過剰に食い物にする象徴のようだった。