<選評> ACL。浦和、川崎の戦い。

先に浦和に触れておくと、浦和の2-0の勝利は嬉しい誤算。引き分けで十分だったが、ゲーム開始直後、幸先よく先制した。ポンテのシュートをGKがはじき、田中が詰めて決めた。やはり、彼はぬるい親善試合よりもこういった負けられない真剣勝負ほど仕事をする(オシムはその辺が分かってない)。試合開始直後だったが、これで浦和は楽になった。逆に全北現代は2点取らなければならない。アウェイゴール・ルールを熟知している彼らにしてみれば、この浦和の先制ゴールは10点分くらいに感じたのではないだろうか。時間と共に、プレーも荒くなり、一人退場で、ほぼジ・エンド。とてもではないが、ACLを闘うレベルかは?だった。

浦和は1点取られてもいいのだから、ファウルに切れたり、大きく崩れない限り、いや、浦和が失点する時間が遅れれば遅れるほど、浦和有利になっていく。前半が終わり、後半45分で浦和が追いつかれたとしても、10人の全北現代から2点取られる可能性は限りなく少ない。なにより、こんな焦りを前面に出した全北現代は、彼らの本当の姿ではない。

すると、裏の試合が気になっていた。川崎対セパハン。望むのは浦和対川崎のACL決勝。中東のクラブと決勝をやるなら移動の無い川崎とやりたい。川崎ならば主審の買収や裏工作を心配する必要も無い。また、これまでACLでJクラブは蚊帳の外だったから、決勝がJクラブ同士のカードになると、アジアに対してJクラブの力をアピールできる。浦和の試合中に、そういった事を考えられる余裕があること自体、かなり予想外だった。

思い切ってチャンネル変えると、裏の試合は0-0だが、川崎が押していた。二試合を交互に見る。そして、表の試合で、全北現代オウンゴールを見た時、浦和の準決勝進出を確信した。全北現代が浦和から4点取るのはほぼ不可能。浦和から4点取れるのは、東アジアのクラブでは大阪くらいだ。浦和の結果を確信し、余裕を持って裏の試合を俯瞰した。

前半はどうだったか、よく分からないが、後半の川崎は、ほぼ完璧だった。中盤のフォアチェックセパハンはまったくボールを保持出来ない。ボールを取ろうとするとファウルになるから、ますますボールが取れない悪循環。セパハンにシュートチャンスもなく、川崎はアウェイゴールの心配すら必要ないくらい、完璧に戦っていた。しかし、森のアウトなど、20本以上のシュートも・・・、すこし運が無いか。中村→山崎の交代は分かる。しかし、チョン→我那覇は? 黒津では。ポストが欲しかったのか。

こちらは予想通り、延長からPKになった。川嶋はPK戦得意なはずだが、すべて読みが逆、逆に行ってしまった。こういう時は、修復できない。関塚監督は採る采配はすべて取った。ゲームは支配したが、延長は想定していなかったか。せっかくターンオーバーしたのだから、延長で圧倒したかっただろうが、その延長は90分の後半よりパフォーマンスは落ちてしまった。

表の試合は無事、2-0で浦和の勝利。全北現代が根性見せて2-1か2-2にするかとは思ったが、さすがにキレたようだった。


気は早いが、万が一、浦和がACLを制したとしよう。ACLは前年優勝チームが決勝Tからの参加となると、日本クラブは来年、浦和のほかに2クラブ出られることになる。ACL出場枠に当たる今年の天皇杯はすでに浦和が獲っていて、もし、2007年Jリーグ優勝も浦和が獲ったら、ナビスコ王者やJリーグ2位3位にACL出場ということも。3位以下の清水、鹿島には良いモチベーションに。

とりあえず、準決勝の相手は城南一和がいい。A3で勝ってるし、なにより移動が楽だ。韓国スタジアムは発炎筒OKだし。ただ、日本人が発炎筒を焚いていると、慣れない人には違和感を感じるかもしれない。イタリア人、クロアチア人ならしっくりくるが。