シュートを外して、どうして拍手が起きるのか?

欧州各リーグが開幕して一ヶ月、Jリーグは後半へ向かっていく。両者を見ていると、スタジアムから起こる拍手でひとつ気づくことがある。スタジアムにいて感じる人も多いかもしれない。特にシュートが外れた瞬間のレスポンスがそうである。

欧州では、シュートがバーを掠めたりすると、ゴール裏などから拍手が沸き起こる。惜しかったという気持ち、次への期待感などがあるが、実際はそうではない。そもそもシュートが入ろうが入らなくても、つまるところ良い形で攻撃できたかどうかであり、シュートの成否に関係なく拍手は起きる。

最近は、Jリーグでも、昔とは変わり、たとえシュートが外れても、良い形で攻撃できた場合、スタジアムのゴール裏から拍手が起こる事もしばしばある。サポーターがきちんとゲームを読んでいる証左であるが、日本代表のゲームになると、それがまるでない。シュートが外れると、拍手などなく、あーっ、という溜息が上がり、まるで元巨人の松井選手が空振り三振に切って落とされた東京ドームのライトスタンドの溜息に似ていたりする。せめてゴール裏から、外した選手の名前をコールするだけである。あれもすこしどうかと思うが。

そもそもゴールを外して拍手が起きるのは、良い攻めができた時だけである。たとえば、GKがミスキックして相手FWにボールが渡ってGKと一対一になって、相手FWが外した場合は拍手は起きない。そもそもシュートしたFWへの拍手ではなく、ボールの起点になった時点から絡んだ選手全員への拍手である。当然、ナイスパス、ナイスチャージでも拍手は起きる。スコットランド・プレミアでやっている中村俊輔が「サイドチェンジしただけで拍手が起きる」と言うのも、むこうではごく当たり前のことである。

根本的に拍手が起きるのはUK圏である。イタリア、スペインといった嫉妬深い国々で拍手は起きない。相手がどんなに良いプレーをしても、それは、くそったれでしかない。UK圏は敵のプレーにも拍手したりするが、ラテンでは、ロナウジーニョクラスにでもならない限り、敵への拍手が起きることはない。

基本的に日本はUK圏の立場の方が向いているであろう。今後、見習ってサポーターの目が肥えていくと良い。ただ、拍手が起きるということは、それだけ厳しい目で見られている裏返しでもある。もし、不味いプレーをして、たとえそれで結果が良くても、あまり評価されないこともある。残念ながら日本の場合は、まだその「域」までは到達していない。