なでしこのロスタイム劇場

日本女子が2試合続けて、ロスタイムにゴールを決めるという、ジーコ劇場もどきの試合を演じた。本来なら、前回大会のように大量得点で勝たなければならない。もし、日本が前半の早い時間に得点していれば、得点を計算できないアルゼンチンの集中は途切れ、日本の大量得点になっていたはずだ。

しかし、サッカーはこういうこともある。なにより、アルゼンチンは前戦で11失点という野球のようなスコアを喫し、守備に関しては、(組織になってなかったが)それなりにモチベーションが高かった。それが日本には不運だったといえよう。だから、先制が遅れれば遅れるほど、日本は焦り、アルゼンチンの集中力は高くなる。

ただ、この試合、0-0のままロスタイムに入っても、わたしは、なんとなく日本が勝つような気がしていた。アルゼンチンはまるで連携が取れておらず、個々が勝手にドリブルでキープしたり、たとえパスしてもボール放棄になる。これではサッカーにならないし、ドイツ相手に11失点も納得がいった。だから、日本が失点する恐怖はまるでなかった。また、彼女たちは、攻撃やドリブルが好きなのか分からないが、時々、守備を捨てて前へ出てきた。あれが彼女達の(うまく行きすぎているゆえの)慢心でもあった。彼女達が前へ出てくれば、得点してくださいという好機は日本に訪れる。

ロスタイム4分でなく、2分でも多いくらいだった。アルゼンチンも最後はへばってしまい、マークに付きれておらず、ロスタイムに日本が先制したのは当然といえば当然なのかもしれない。残り数分あったので、わたしは、もう一点取れるとさえ踏んでいた。案の定、ポストに阻まれたが、これが今日の日本の運のツキなのかもしれない。先制点の遅さのツケはあまりにも大きい。

次のドイツだが、善戦すると予想する。ドイツが引くこともないし、意外と組みやすいのかもしれない。勝てるかはわからないが、引き分けは十分にある。勝ち点5で、わたしのベスト8予想に変更はない。


最後に川上直子のゲスト解説だが、(もともと取材対象が旧チームメイトだからか)きちんと取材していて、その仕事の跡がよくわかる解説で、すくなくとも白紙の状態で実況するテレビ朝日の某氏に比べれば、よほどよい。彼女のコメントも、適当な心地よい言葉で茶を濁すこともなく、はぐらかすこともない。きちんと試合を見て、読んで噛み砕いてるのがよくわかる。また、茶の間にあまり媚びておらず、青島アナに、「あんな奇跡が二回も起こるわけないです」と逆にツッコミいれてたのも、ほほえましかった。ただ、彼女、声質があまりよくないのか、鼻が詰まったようなトーンになってしまい、どちらかというとキャバクラの姉ちゃんが解説してる「軽さ」も感じられる。ゾノこと前園のように、プロについて、きちんとボイス・トレーニングしたほうがいいかもしれない。