菊地直哉の逮捕について2

あまり気持ちの良い記事ではないが、書かざるをえない。

磐田・菊地が釈放「裏口から消えた」
 静岡地検浜松支部は22日、静岡県青少年環境整備条例違反(淫行)の疑いで逮捕された磐田MF菊地直哉(22)を起訴猶予処分とした。本人が深く反省していることや、被害者側とすでに示談が成立しているためで、同日午後3時頃釈放された。

起訴猶予処分で釈放したことで、まず、静岡地検浜松支部から温情採決が下された。とはいえ経過からそうなるが、検察としても、厳しく強行突破は出来なかったというところか。自動車のスピード違反と同じで、「今回、違反切符切るけど、次は注意しろよ」といってるようなもので、このあたりの対応はすこし日本的で甘いかもしれない。釈放の際、地検に来ていた報道陣を前に謝罪した方がよかったが、さすがに若さか、裏口から消えたあたりは、すこし精神的な未熟さを感じる。

まず、今回の菊池事件について、最終的に3箇所からの決定がなされる。

①地検支部からの決定(起訴猶予で決定済)
②磐田からの決定
③Jリーグからの決定

①はすでに温情判決が下された。ここで起訴されたら、菊池は100%ジ・エンドだった。日本国内でのプロサッカー選手としての復帰は1000%なくなる。

②の前に③のJリーグからの決定であるが、これは菊池へ直接ではなく、管理管轄にあった磐田になんらかの決定が下され、磐田経由で菊地にもなんらかの裁定が下る。それに対し、磐田が菊地にどうするのかということになる。

そして、その磐田が菊地をどう処遇するかの②が一番やっかいで、問題なのは、菊地は今月末で磐田との契約が切れてしまうことである。磐田としては、契約を延長しないか、延長するかの二者択一の選択を迫られる。

もし、契約を延長すれば、批判なりのアウターケアが大変になり、クラブには余計な仕事となる。しかも、ブレイク前とはいえシーズン途中である。

契約を延長しなければ、事実上の戦力ダウンはもちろん、菊地への拘束力が消え、菊地は自由契約選手になる。菊地には海外移籍という道も残されている。おそらくJで契約をするよりスムーズに進むであろう。起訴猶予とはいえ、犯罪を犯したことが就労・滞在ヴィザ取得上のマイナスポイントになるが、雇用する海外のクラブ側は日本ほど厳しいものではない。テロリストで無い限り、犯罪の内容そのものは外国(とくにラテン)では些事になってしまう。この辺は日本との考え方の違い、たとえ刑務所に入っていたことがあっても、プレーできる裾野が海外(とくにラテン)にはある。

10代の若い頃から、菊地の評価は日本より海外の方が高い。海外クラブと契約できないのは彼の代理人が未熟なだけで、一般ファンよりも指導者や玄人好みする選手である。海外からのオファーも、菊地が金銭面にこだわらなければ、2部ならいくらでも欲しいところはあるであろう。ただし、海外へ行けば、われわれ日本人からすれば、「逃げた」と、かならず見られる。社会にこれだけニュースが流れた以上、数年、ボランティアなどするなどして、きちんと(信用を裏切った)社会・関係者に償い、その上で海外へ行くのが筋かとは思われる。

どちらにしても、磐田には難しい決定が求められてしまう。責任を個人におしつけるか、クラブ全体として考えるか。いくら磐田の選手が試合前にピッチで頭を下げても、もし、ここで菊地を切ったら、他の選手達の行為に説得力が弱くなる。言葉は悪いが、磐田がビジネスライクに徹し、「腐った肉」を切り捨ててしまうのか、イメージや将来を見据えて、彼を救うのか。クラブとしての器量や裁量も求められる。

磐田サポーターからすれば、救いの手を差し伸べる意見もある一方で、磐田が菊地一人のために苦しむことは無いという意見もある。たしかに許されざる犯行に、関係ない他の磐田の選手があまり背負わない方がいいと考えるのも自然で、この辺は意見が多岐にわたるであろう。

他のブログや掲示板を見ても、「選手としてはクビ、終了」という意見が多いようだ。また、今回の事件で彼を初めて知った人も多いであろう。おそらくそういう方が大半で、そういった意見が体勢になるのは仕方ないかもしれない。

とりあえず、誰かトップの人間の辞任があっておかしくはない事件だが、磐田の対応、処遇を様子見になる。それほど時間は無い・・・。