ワールドカップ と オリンピック が、開催したい国

ワールドカップ、オリンピック、両者とも、開催したい国や都市は、それこそ引く手あまたで、その開催権の争奪戦は水面下で札束が飛び交うほどに凄まじい。開催する側としては、その計り知れない経済効果はもちろん、世界へのアピールとしても露出満点である。その主催者たるFIFAもIOCも、そんな高い需要を背景にスポンサーを取り込んだ殿様商売を繰り広げられる。ただし、両者には微妙な温度差があるようだ。それは開催する場所についてである。

すでにワールドカップは先進国以外での開催は難しいくらいのビッグイベントに成長した。コストで膨大な負担を強いられるため、もはや、経済不安を抱く国での開催は難しいとされる。一方、オリンピックは先進国でなくとも、いまだにマイナー都市でも可能なイベント規模であり、前回のアテネの成功はそれを証明している。コストはかかるが、期間は2週間で、主に1都市(一部を除き)で運営するという手軽さが、小国、小都市での開催を可能にしている。

しかし、開催国争奪の動きはワールドカップとオリンピックはそれぞれ逆になっている。

先進国必須のワールドカップ発展途上国での開催
発展途上国も可能なオリンピック=先進国での開催

つまり、ワールドカップは小国で、オリンピックは大国で、というように双方がお互いに真逆のベクトルを描こうとしている。次回、次々回のワールドカップ開催国である南アフリカ、ブラジルは経済的にも厳しく、国内の交通、宿泊のインフラは先進国にははるか及ばない。一方、オリンピックは経済発展著しい北京、ロンドンとつづく。2012年の最終候補市を見ても、ロンドン(イギリス)の他にも、パリ(フランス)、ニューヨーク(アメリカ)、マドリード(スペイン)と、それこそ並みいる先進国の顔ぶれで、ある意味、「経済の不安な国では開催しません」というIOCのメッセージとも受け取れる。もはや、第三国や経済不安を抱く南米での開催は難しいというスタンスを打ち出しているかのようだ。

FIFAにしてみれば、ワールドカップは放映権と広告で巨額の黒字を果たせるため、開催はどこでもかまわないのである。観戦客がいなくとも、収益は保証される構造上、あとは大きな失敗さえなければいいという気楽な立場にある。かたや、IOCのオリンピックは、マイナー競技の集合体ゆえ、小さな失敗も許されないだけに、コストがかかっても大丈夫な先進国を選びたいようだ。

双方の巨大イベントにも思惑があるようだが、さて、オリンピックに立候補した東京はそんなIOCのメガネに合致する都市であるが、ほかの候補も先進国ばかりである。東京開催について、わたし個人的には、今の国立競技場を球技専用(サッカー、ラグビー)スタジアム+複合施設に立て直してもらいたい。