<展望> U-22日本代表 対 U-22シリア代表

 『反町で(北京へ)行きますか?。それとも、反町で(北京へ)行っちゃう?』

そんな笑えないボケをかませるほど日本に余裕は無い。シリアに負ければ当然、余裕はなくなるし、もちろん、勝っちゃっても余裕は無い。

今回、負けたら反町監督は更迭。
趨勢がそう傾いてしまってもおかしくはない。
これまでの予選、チームにまったく形が無く、内容の無い結果だけがかろうじて後をつけてきたのだから、ここで本当の(敗戦という)失敗が具体的に示されれば、更迭に異を唱えるものは少ないであろう。

最終予選までに熟成させて・・・という弛緩した意見も巷間にはあるようだ。だが、完全に見誤っているといえよう。たしかにトルシエ、山本の時代は時間的にも待遇的にも余裕があったが、今回はそれほど時間もなければ、(対戦がホーム&アウェイで)前回のように優遇されたセントラル方式ではない。もし、日本が予選敗退したら、それは(北京で真剣勝負の経験の場を失うという)損失ばかりか、あれだけのタレントがいながら「もったいない」という意見が大半になるのではないだろうか。

もちろん、大事な五輪のアジア予選を、さして実績の乏しい若手監督の予備校的な経験の場に割り当てている日本サッカー協会にすべての元凶があるのは間違いないのだが。


しかし、心配には及ぶまい。
日本は普通にシリア戦に勝つであろう。1-1や2-2の引き分けも当然あるであろうが、勝つならば最低でも1-0。まともなら2-0か2-1で勝つ。いや、もしかすると3-0か3-1で快勝するかもしれない。とにかく、日本が快勝する。本田、家長、水野、枝村、増田、誰々が良いということではなく、きっと、全員が良い動きをするであろう。

珍しく、わたしがそう強気に予想する根拠は複雑ではなく、いたって単純である。
反町のチームには形が無い。軸も無ければ、なにもない。なにがやりたいのかもない。正直、チームとしては最悪の状態にある。ただし、それがかえって良い作用を果たす場合もある。今回の相手はこれまでの香港やマレーシアとは違い、ほぼ同格のシリア。プレーする選手のモチベーションもおのずと上がり、緊張感も生まれ、戦術・形の無いチームに、ある意味、危機意識のまとまりが生まれる。それが結果的に監督が意図していない形となって、日本へ勝利をもたらすであろう。勝負事は意外と単純なファクターで決まるものだ。

だから、香港、マレーシアに苦戦したからという理由だけで、シリア戦も苦戦したり、負けてしまうということはない。むしろ、これまでとはまったく違う良い内容で日本は勝ち、手のひらを返したように監督や選手への評価が一変するであろう。


ただし、評価が良くなっても、それは一過性のものであり、長続きはしない。もちろん、そのシリア戦の内容がすべてでもないし、これで形が出来たと思ってもいけない。とにかく、このチームには発足当初から軸となる形が無い事を忘れてはならない。事実上、監督無しでチームが運営されているようなものだ。むしろ、まっとうな評価は最終予選で激闘を切り抜けたときにはじめて下せる。その時、このチームには監督がいるであろう。ただし、もし、今日の試合がわたしの展望とは、まったくあらぬ真逆へと進み、Uー22日本代表がシリアに内容悪く敗れるようなことがあれば、反町に国際舞台での監督能力無しとみなした方がいいのは、いうまでもない。正確に言えば、能力云々ではなく、国際舞台での修羅場に向いてるか向いてないかでしかない。

 『反町で(北京へ)行きますか?。それとも、反町で(北京へ)行っちゃう?』
いまの状態では軸たる形が無いため、結果オーライの出たとこ勝負になってしまい、なんとなく「行っちゃう~」というノリのようで、とてもではないが最終予選を闘うには冗談にしか見えない。できれば、チームの形を決め、実践し、その上で、はっきり、「行きます!」と歯切れよく、いってもらいたいものだ。