<選評> 日本女子代表 2-0 メキシコ女子代表

日本女子代表 対 メキシコ女子代表 の試合が国立競技場で行われたが、試合前の国歌斉唱で、メキシコ国家のアカペラをスタジアムで初めて聞いたがなかなかよかった。このカードは普通に男子のフル代表でも実現して欲しいカードである。

さて、試合だが、日本はすこし緊張して硬かったのか、ほぼボールキープも満足に出来ない状態だった。一方、メキシコもさして前には出ず、引いた状態だったので、前半立ち上がりの部分で日本は救われていた。

だが、次第にメキシコからの寄せに、日本はなかなか自分たちのリズムは作れず、パスミス、トラップミスなどでパスは繋がらないの悪循環だった。日本はすこしシステムや形にこだわりすぎているような印象で、点が取れそうな雰囲気はなかったのだが、左からのクロスから沢が頭で合わせて、日本が先制したのは運いていたといっていい。あれですこし日本も気が楽になったのではないか。

この試合は失点もポイントだった。プレーオフ規定のアウェイゴールを取られないようにしなければならない。たとえ、2-1で勝っても、アウェイで0-1で敗退したらプレーオフ敗退となる。よって、この試合、勝つことよりも失点しないことが重要である。しかし、ピッチ上の彼女たちはあまり意図してないようにも思われた。むしろ、変にあれこれ考えない方がいいのかもしれない。後半の2点目も沢が左サイドをぶち抜いた時点で勝負あり。沢からのセンタリングにゴール前で宮間をドフリーにするくらい、メキシコのDF網はお粗末だった。

ただし、このメキシコ、それほど弱くはない。とくに#7ロペスはボールキープが出来てドリブル突破もOKの危険な選手である。この試合でメキシコにも3つの決定的なチャンスがあったが、GKのファインセーブが2回、クロスバーのファインセーブが1回で日本は救われた。正直、2-2で終っていても不思議でない試合だった。得点差ほど力がかけ離れているようにも思えなかった。

とにかく、なによりホームでの失点しなかったことが大きい。2-0はほぼセーフティリードである。次のアウェイで0-3の敗戦はすこし考えにくい。たとえ3失点しても、1点取れば、勝ちぬけになる。よほどパニックか事故でも起らない限り、日本のワールドカップ行きは確実であると確信している。


しかし、本来ならワールドカップ出場を逃している事も肝に銘じなければならないであろう。
今回、アジアの中国が開催国ゆえのプレーオフである。すくなくとも、このメキシコ戦の(主導権を握れない)内容では、アメリカ、スウェーデン、ドイツと戦うのは厳しいかもしれない。