高校サッカーは無印良品のスピード時代に・・・

第85回全国高校サッカーの決勝は作陽と盛岡商に決定した。
雨に泣いた八千代とは裏腹に、盛岡商のDF陣を中心に自分達のサッカーが出来る安定感があり、作陽もソツが無い。決勝は一発勝負なだけに、どちらが勝ってもおかしくはないだろう。好ゲームを期待したい。

さて、今大会もそうだったが、高校サッカーの勢力図はその代わり映えとともに変化するスピードが早くなったことを改めて実感させられる。かって静岡などは全国大会より厳しいなんていわれていたが、もはやサッカーどころといわれていた県と他の都道府県との差がほぼ無いに等しくなりつつあり、強豪や伝統校が思い通りに勝ちあがれる時代ではなくなった。

もはや高校サッカー無印良品の時代に移り変わっている。そして、その速度も早い。

過去に遡ると、愛媛県立南宇和高等学校が全国優勝した辺りから、この伝統校>新興高校の勢力図が壊れ始めたともいえる。野球の強かった学校がサッカーまで強くなるだけでなく、サッカー不毛の地方から無名校が勝ちあがってくるようになった。国見などはその例で、一強時代を作り上げた。また、東福岡など頭のよい進学校の躍進もある。(準決勝で敗退した八千代も千葉県の地元では、かなり頭のよい高校で、サッカーより勉強が出来るというイメージが強い)

これも指導者の地道な努力の賜物であろう。独自の指導法、選手集め、練習の工夫や効率化、他県や外国への遠征、私設寮の形成など、そして、なにより選手生徒の技術の向上と理解度の高さにあろう。
もちろん、Jリーグの存在は大きな影響を与えている。Jリーグ創設前は、大学進学か社会人サッカー部入部しか道はなかった。とにかく、高校サッカーは平均的な良品ぞろいで、来年の勢力図すら予想できないスピードで走っているともいえよう。

一方で、(比べるのもなんだが)高校ラグビーなどは依然として強豪校、伝統校が強く、野球などのスポーツに力を入れていた学校がラグビーにも力を入れてくるケースはあったが、高校サッカーのように無名高校や新興勢力が出てくることは少ない。まだまだ古豪が復活できる土壌があるともいえるが、その無印良品の数は小粒で、時代速度もゆっくりしている。

ただ、高校サッカー無印良品の豊富な品揃えになったといえ、今の日本(の大多数は)、金属バットの快音が響く土のグラウンドで、野球部とサッカー部が一緒になって(練習エリアを分け合い)練習している環境には悲しみを憶える。欧州の同い年の少年たちは芝の専用ピッチで練習しているのだから、その辺の文化の差は否めない。