日本代表vsブルガリア代表 <キリンカップ>

もっぱら代表の選考がかかっているだけに、いつもの緩い雰囲気とは違い、いくばくかの緊張感はあった。ブルガリアも体調、面子ともに万全とはいえないまでも、スパーリング相手としてはさほど悪くはなかったのではないか。一昨年のユーロ、ブルガリアはショートパスを細かくつなぎ、小さいスペースへスルーを通すというコンパクトなサッカーをしていた。どちらかというとそのスタイルは日本代表に似ていて、仮想クロアチアというよりも、仮想日本ともいえなくもなく、似たもの同士の戦いにも思えた。

まず、立ち上がりの日本の失点だが、左サイドから右へのサイドチェンジのロングパスをいとも簡単に通してしまった時点で勝敗は決していた。もちろん、日本の得点もサイドの加地にボールが渡った時点でビッグチャンスになり、すかさず、逆サイドのアレックスにボールがてんてんと渡り、これをアレックスがためらわずダイレクトに放った結果である。

つまるところ、放たれたシュート数よりサイドを崩す回数がどれだけあるかが重要で、どちらかというとシュートの少ないブルガリアにたびたびサイドを割られていた。おそらく本大会でもクロアチアやブラジルあたりにサイドを自由にさせない&日本がサイドを使う展開にならないと、相当、厳しいだろう。ブルガリア戦を見ている限り、下手をすれば、サイドからずたずたに崩されての大量失点もある。

個別の選手で見ると、動きでは玉田が際立っていた。ゴールこそ奪えなかったが、どこかブラジル人好みの動きで、なによりプレーしている表情がよかった。もちろん、巻、佐藤もゴールを取るという気持ちが前面に出ていた。たしかに巻は2、3点くらい取っていても不思議ではないくらいチャンスがあったが、やはり、ここ一瞬の勝負に決められないのは課題を残す。というより、これは日本人の永遠の課題なのかもしれない。

親善試合とはいえ、一応、カップ戦だけに勝利を目指し、後半、小笠原、小野をスクランブル投入すると、すこし空気が変わったが、それ以前に彼らは先発タイプであるから、スーパーサブとしては適材適所といえない。DF陣も人が余っている場面では特に問題ないが、カウンターからディレイが甘くなって一対一になるとやはり突破されて、チャンスメイクされてしまう。今のところ、状況を読みながら守っているのは宮本だけであるが、オフサイドトラップを仕掛ける守り方でもしなければ、本大会でも相当厳しいだろう。

キリン杯は去年のペルー、UAEと続き、今回のブルガリアで3連敗である。次のスコットランド戦に破れるようなことになると、さらに次のレバークーゼンでのドイツに勝つのは難しい分、敗戦続きの本大会入りになる可能性もある。とはいえ、それくらいの方が緊張感あっていいのかもしれない。とりあえず、中村、小野、中田がアジャストする魅せるサッカーは、本大会ぶっつけになりそうだ。

最後に。
長居の声は国立より出ていた気がする。