WBC日韓戦は、墨谷2中(韓国)対青葉学院(日本)のようで

それにしても勝ってよかった。
前半は劇画『キャプテン』の墨谷2中(韓国)対青葉学院(日本)の試合を見ているようで、どちらかといえば、わが青葉学院である日本にはよくない流れだった。

青木の第一打席で初球を投ゴロした瞬間、どこか苦戦を予感させるようで不味いなと思った。案の定、里崎のパスボール、青木の離塁アウト、多村の送りバントミスなどのミスが出て、スコアボードはゼロ行進。いつか点が取れるだろうという慢心はないにしても、自分たちでリズムに乗れずに苦しんでいた。また、日本はこの試合でも短期決戦の戦い方をしてない。4回表もイチローが盗塁を決めた後、松中に送りバントをさせていたら、多村の犠牲フライで1点だったが、強行して凡退。どこかヒット待ちの岡田阪神を見ているようで、無謀にさえ思えた。

また、打順オーダーにしても、イチローの3番はいいのだが、1番青木には首をかしげた。やはり、1番西岡、2番川崎、3番イチローで固定するといいように思える。また、サードは今江よりは宮本の方がいいだろう。

たしかに試合の流れは日本に悪く、韓国の出会い頭の一発があったら、そのまま持って行かれたかもしれない。

しかし、あそこで福留の一発はビッグボーナスの777であろう。普通はあそこでホームランは出ないものだが、点を取った回が終盤だったのがとてもよかった。あそこで韓国は集中力が切れ、つづく小笠原へのなんでもないデットボールで簡単に崩れてしまった。その後の日本の集中打には、あの誤審審判の出番すらなかった。また、雨の中断も8回と遅めだったのは日本に運があった。

日本は韓国に挑戦することなく、最後まで俯瞰して戦った。この辺は、やはりサッカー日本代表とはひときわ違う「格」というものなのだろうか。それにしても、イチローの集中力には恐れ入った。サッカーでひとり気を吐く中田を見ているようで、チームをひっぱっていた。ビッグマウスを叩くだけのことはある。

負けた韓国も身のほどを知ったであろうか。ひょっとしたら世界を取れるかもしれないと夢を見たであろう。しかし、現実はこんなものだ。まさに日本と再び30年もの実力差を広げられたような試合内容だった。

それにしても、今日ほど負けたくないという気持ちで緊張して試合を見たのは久しぶりかもしれない。勝ったから、ものすごく気分がいい。いや、勝ったから嬉しいというより、負けなくてよかったというほうが正しいかもしれない。今日負けていたらと思うと、悪寒が走る。おそらく眠れないくらいに悔しかったであろう。

決勝はアテネで日本が快勝しているキューバであるが、ドミニカや堅守の韓国よりやりやすいのではないか。キューバであれば、韓国に負けるより気は楽だけに、普通にやれればいいだろう。