ドイツ、グループリーグ敗退の危機?!

ワールドカップにおいて開催国は有利だとされるが、実際はそうでもない。つまるところ、地元開催は勝って当たり前というプレッシャーとの闘いである。2002年の日本代表も相手以前に、そのプレッシャーとの戦いであった。開催国にもかかわらず、もし、グループリーグ敗退したら、世界に対して大恥をかいてしまう。そんなプレッシャーが昨日のことのように思い出される。

さて、今回のドイツはいかがなものだろう。ワールドカップ優勝3回、最近20年ではすべてベスト8以上の常連国である。普通であれば、ドイツがグループリーグ敗退など、誰も想像もしないだろう。

しかし、現在のドイツは厳しい現実がある。先日1日の親善試合ではイタリアに1-4とドイツは大敗したが、結果以上に内容がよくない。もし、今回のワールドカップが他国の開催だったら、ドイツは何番人気であろうか。おそらく上位に入るのも厳しいのではないか。いや、欧州予選で敗退していたかもしれない。DF陣はボールウォッチャーになるし、ダイスラーシュバインシュタイガーバラックの中盤も守りに入ると脆い。すこしプレスをかけられるとキープできず、すぐにボールを失う。見栄えしないFW陣の攻撃もセットプレーに頼っており、正直、今のドイツはどこか日本代表を見ているかのようである。次のアメリカ戦でてこずるようでは、(たぶん、てこずるが)、本大会まであまり時間がないことになる。

ドイツ、ポーランドコスタリカエクアドルとなったA組は、おおまかに楽とされるが、果たしてそうであろうか。もし、ドイツが、ウクライナサウジアラビアアンゴラと同じ組であれば、間違いないだろう。もちろんC組に比べたら、今回のA組ははるかに楽であるし、ポーランドコスタリカエクアドルに個のスター選手が居ないという軸で判断すれば、ドイツが有利であろう。

しかし、フットボール個人競技で無く、団体競技であり、スターの駒や個の質だけで勝敗が決まるわけではない。とくにコスタリカエクアドルに共通するのは組織力である。海外組に重きを置いておらず、国内組がほとんどであるから、連携に関してはクラブレベルの緊密さにある。また、彼らはドイツにない一瞬のスピードを持っている。なにより、ドイツがあまり対戦したことのない国だけに、上手に組めるかも疑問である。正直、ドイツが先制点を取れない展開になると、苦しむであろう。お隣のポーランドも歴史的な背景もあるが、ドイツにはやりにくい相手である。

ドイツが開幕戦を引き分けたら、それは敗戦に近いであろう。想定しにくいが、ドイツがワールドカップ初のグループリーグ敗退になることもなきにしもあらずである。ひいては、それが大会を盛り下げる要因にもなるから、まさかの失態だけは勘弁してもらいたいところだ。なによりも、バラックが98年フランスのジダンのような存在になり、結果的にバラックの大会にならないと、ドイツの躍進もありえない。