<総括>2018年W杯ロシア大会「新方式で原点回帰が加速」

                     
     

開幕前の優勝予想記事にはフランスを優勝に推しておきながら、決勝は心情的にクロアチアを応援していた。まだ、オランダすら優勝したことが無いにもかかわらず、クロアチアが優勝したら、柏がJリーグ初優勝した時の様なちょっとしたカタルシスがあったかもしれない。

それでも、W杯のクオリティがかろうじて保たれているのは、まだ、チャンピオンの国数が強国による一桁であることである。オランダは別にして、メキシコ、ポルトガル、コロンビア、ベルギーなどの準強国が優勝するようになると、強者の中の強者を決める大会としてはすこしステータスが下がるかもしれない。

さて、決勝はオウンゴールや乱入、乱打戦のスコアの様相で、あたかも3位決定戦のようだった。むしろベルギー対イングランドの3位決定戦の方が既視感にあふれた決勝に相応しい内容だったかもしれない。優勝したフランスは決勝までカンテが屋台骨を支えるだけで、ラグビー代表と同様に個人だのみで独特の形が見えない。ひょっとすると決勝を終えた先の試合に完成形が見えたのかもしれない。

決勝の勝敗が決したのは(思い切った)カンテの交代とPKである。カンテの交代はイエローを貰っているのもあるがモドリッチに自由を与える賭けにも等しかったが、結果的に功を奏した。それと、あの微妙な判定によるPKはフランスに余裕を与えた。日本戦の展望でも「余裕」をキーワードで書いてるように、今大会、フランスは一貫して余裕があった。しいてアルゼンチン戦で一時逆転された時間だけバタついたくらいで、あとは自分たちの時間の中で試合を行えていた。若いチームなら余裕はなおさら勢いがつきやすい。逆に、余裕のない焦りをみせる試合が無かっただけに、フランスが本当に強かったかと言われると、すこし首をかしげる。これはEURO2020と2022W杯で(前回優勝国の)GL敗退があるかどうかで判断するしかない。

それでも、EURO2016を準優勝してきたフランスのベクトルは右肩上がりなのは間違いなく、ジルー、グリースマンが抜けても強さはほとんど変わらない。むしろ、今のフランスの若手たちが今大会で100%の実力を出し切っていたかというとそうでもなく伸び代はある。

大会を俯瞰すると、開幕前の大会展望で原点回帰に帰すと書いたが、セットプレーやカウンターが多く、ここまで原点回帰するとは思ってなかった。VARによる監視がそれとなく無意識に自由な発想や想像を削いだかもしれない。ゆえに新方式が時代のサイクルを逆行させたともいえよう。

そのVARも、最初はいちいちゲームが中断されて馴染めなかったが、慣れてくると意外と面白い。判定に一喜一憂するテニスやアメフトのチャレンジに近く、スリリングにも感じた。これにより、ロスタイムが4分、5分が当たり前になり、ロスタイムでの決着も起こりやすい。VARの効果で、スコアレスのゲームが減少し、攻高守低の様相。シュミレーションも減った。

とはいえ、特にロスタイムが4分、5分はあくまでドラマ仕立ての可能性を上げ、つまらない試合を減らすためで、スポンサー向けのFIFAの対応というべきだろう。選手ありきでなく、スポンサーありきが前提となるためだ。たとえば、イエローを準々決勝まで繰り越すのは、スポンサー招待客の為に決勝で有名選手の欠場を回避する措置でしかない。FIFAが大会をより良くしようというのではなく、あくまでスポンサー対応の結果でしかない。今後、W杯が時期や出場国増加でどうなるかだが、1980年代から面白くなりだしたこれまでのスパンが終わり、どうなるのかは蓋をあけてみなければわからない。

チームで俯瞰すると、今大会で実質的にどこよりも強かったのはベルギーだった印象。試合の入りがスロー、コンパニーの不安定さを除けば、ほぼ攻守ともに明確なゲーム運びで特に攻撃に関してはラッキーなゴールはなく意図した迫力ある、見ていて気持ちの良いゴールの印象が多かった。

上位にはフランス、ベルギー、イングランドを軸に平均年齢の高くない若いチームが残った。日本のみならず30歳前後の選手がこぞって先発していたレガシー頼みの強国は姿を消している。結局、若いかどうかでなく、若手、中堅、ベテランのチームバランスのとれたチームがあたりまえのように勝ち上がった。それでいて、未来へのレガシーも出来上がっている。先を見据えた楽しみといえば、優勝したフランス以上に、ベルギー、イングランドについてはさらに伸び代があり、EURO2020にはひとまずのピークを迎えるであろう。


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