ザッケローニ監督の過信と見落とし 「時流の先読みまで」

                
   
   
コンフェデ杯で三連敗、W杯本大会で1勝も挙げられなかったとはいえ、2011年アジアカップ優勝、2013年東アジアカップ優勝、札幌の韓国戦3-0快勝など、アジアでの結果は普通以上の出来である。代表監督としての仕事は、十分に及第点であろう。

代表も、2010年大会組から藤本、柏木。そして、ロンドン五輪世代までスムーズに招集し、シャッフルしてきた。W杯本大会GL3試合での采配、ブレ、交代策などあれこれ言われているが、個人的には、緒戦の長谷部から遠藤への交代以外は、展開に合わせたセオリーであり、ブレやパワープレーを問題視するのは、(結果が出なかったゆえの)わかりやすい荒探しをしているような気がしてならない。監督として、W杯初参戦にもかかわらず、彼なりにやれることをやり、コロンビア戦前に休暇を入れたのもよかった。

ただ、W杯本大会の傾向が通常のチームワーク、団結力だけでなく、局面での対人勝負、ファイティングスピリット有無、チームメンタル勝負になってしまったのは、結果論だが、当てが外れたといえよう。そこまで読むほうが難しいが、クールな大会ではなかった。チームとしての熱と激しさを求められた。さして太い歴史も伝統もない中、闘い方の引出しひとつで出かけたため、一度、躓いて、手詰まりになった印象。それだけやってきたこと、チームを信じていた裏返しでもあるが、そこまで日本人を信じると、過信に陥りやすい。

過去記事に、「日本代表監督でW杯初参戦の監督は(初回の岡田さん、ジーコともにチームの空気を悪くして)1勝も上げられず、GL敗退している。」と書いたが、残念ながら、今回は、それがそのまま出てしまった印象。チームの空気を決して悪くはしてないが、われわれ日本人の本質を読み誤ったというところか。アプローチの仕方を(コンフェデ杯、W杯と)二度も誤ったのだから、そう考えるのが自然かもしれない。

W杯初参戦の部分で国籍は関係ないが、それでも、外国人監督の場合は国民性の把握のところで、ハンディキャップがある。日本の文化や慣習は住んで表面的にわかっても、日本人の本当の根っこまでは肌でわからない。われわれ日本人は、約束や時間を守り、勤勉で綺麗好きでマナーが良いが、出る杭になるより平均点を好み、人の目を気にして周囲からはみ出すのを恐れ、悪者になるのを避け、何か思っても意見は言わない。本領発揮するのは、裏切られたり、過小評価されたときだけ。基本、常に指示待ちで、アイディアや才能があっても、それを開花させるのに年月を要する。なにより、保険を掛けつつ、何度もやり直しのきく勝負に向いてるが、崖っぷちの、取り返しのつかない勝負には不向きである。われわれは、成功や勝利から学ぶのではなく、失敗や敗北から時間をかけて学ぶのが向いてる国民である。つまるところ、自分自身が日本人にならないと、わからない部分がどうしてもある。

例えば、(ジーコもそうだったが)闘莉王を一度も代表招集に加えなかった事がひとつの証左と言えよう。闘莉王が戦力になったかどうかは置いておいて、(ラモス瑠偉とともに)彼ほど日本人以上の日本人はなかなかいない。昭和末期の匂いを残し、市井の日本人以上に愛国心があり、日本の為に尽くす。個人的な好みもあろうが、それが分かるかわからないかだ。ちなみに、前回大会で彼を招集した岡田監督は、それを見抜いていた節がある。

また、前述した緒戦の長谷部から遠藤への交代も、ジーコのやった小野の投入に映る。とても偶然とは思えない。スコアから守る状況でもありながら、あの交代でチーム統一への意思がバラバラになってしまった。指示や意図が他人任せだったり、曖昧だと、われわれ日本人は混乱するものだ。実際、日本が早々と先制し、試合終了までの残り時間が長すぎると感じつつ、ベンチにボランチが遠藤と青山しかいない事を危惧していた。遠藤が交代で出たら、ジーコの時と同じになるのではと悪寒していたところでビンゴしてしまったのだから、2006年の再放送を見ているかのようだった。ハーフタイムで(スコア、残り時間ごとの区切った対応など)明確な方向性を示しておくべきだった。

やはり、トルシエ監督時の山本氏のような日本人のコーチを入れるなり、人選含めて、日本人との間を取り持つ人材が必要だったかもしれない。もちろん、ラテンなどの他国だったら、ザッケローニ監督のアプローチで嵌ってたかもしれないし、先々、ザッケローニ監督が他で仕事をした際、日本代表での反省が、活かさせるかもしれないが、相手次第では、まったくのお門違いになる場合もある。

もはや、W杯も、チームの闘う軸を据えた上で、大会がどういう流れになるのかも、開幕から読み解く必要がある。守備的で引き分けの多い大会なのか、大味で波乱続きの大会なのか、今大会のように、アタックに重点をかけつつ、5バックで堅守を張るのが流行するのか。もはや、パス回しで崩すやり方、4-2-3-1は古い型になりつつあり、コスタリカのように闘い方を先取りする読みも必要になってこよう。実は、CL準決勝から傾向は出ており、W杯元年のシーズンは、欧州で優勝したクラブの闘い方も見ていく必要があろう。

最後に、ザッケローニ監督は、引き際で言い訳せず、結果の責任を被ったが、つまるところ、(反町さんの時と同じで)日本サッカー協会の丸投げでしかない。W杯本大会の結果の責任の取り方も、辞任が規定路線ではなく、続投路線で辞任の方がより説得はある。このあたりは、日本サッカー協会のスピード時代にそぐわないやり方でしかない。

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