<選評> 日本代表 0-0 ギリシャ 「こういう試合もあるということ」

                
            


まずは、ギリシャを賞賛したい。試合でやることなすこと上手く行ってなかったのはギリシャである。彼らは、焦りから無用なイエローを多発し、動きも重く、初戦の0-3のダメージは払しょくしきれていなかった印象。それでも、後半キックオフ直後にロングシュートを打つなど、したたかで、考えうるチャンスを最大限に活かそうとして、なんとかして1点を日本から奪おうとしていた。勝利を頭で考えるのではなく、本能でプレイしていたのは、むしろ、ギリシャだった。そして、50分以上、10人で闘い、最後は日本を零封し、コンプリート。この試合が、事実上、彼等の勝利であるのは疑いようはない。ただ、ギリシャは日本、韓国には勝てないジンクスを払拭できず、引き続き継続させた。

たかがスポーツゲームとはいえ、勝負事は紙一重である。もし、日本が、前半ロスタイム、後半立ち上がりに先制していたら、そこでギリシャの気持ちが折れてしまい、試合は3-0、4-0で一方的になっていた可能性もある。実際、試合中は日本サポータの歌声がよく聞こえていたし、どこかKIRIN杯を見ているかのような空気でもあった。日本に勝って下さいというゲームであったのはゲームデータからも疑いようがない。

とはいえ、10人になって、守って0-0でOKEYと意思統一したギリシャを崩すのは、並大抵のことではない。おそらく、他国でも手を焼いたはずである。いかにギリシャがチームとしてひとつになっていたかは一目瞭然だった。結局、闘う根っこの部分では、戦術、技術のスペックではなく、心の宿る人間がやっている。ということである。(日本が勝てなかったというのは置いておいて)こういう試合は退屈だが嫌いではない。

<選評>で書いた日本のクリア条件は、ほぼクリアしていた。本来、整理されていなかったりするが、これは立派である。ただし、運の流れやリズムまでは取り返せなかった。いつもなら出来ることが微妙にズレたり、ゴールが決まっておかしくないところにボールが転がってこなかったり、なにより、ほぼワンサイドのゲーム展開で、点が取れなかったのがその証左。往々にして、そういうものである。

この試合に限って言えば、日本はよくやったといえよう。<展望>に書いた懸念を払拭し、この<選評>を書く必要がないくらいである。もし、初戦に勝っていたら、流れと余裕から、楽に勝てた試合だったのは言うまでもない。闘い方も特に悪くない。セカンドボールも前へ出て取れていたし、スタミナも集中力も最後までなんとか持たせた。積極的にシュートを打つ姿勢も出ていた。FKを何本も蹴らせてもらえた。日本が責められる内容ではなかった。ただ、一言で言えば、運が無かっただけにすぎない。

たしかに、危ないシーンもあったし、攻め方が単調で、クロス一辺倒だったかもしれない。グラウンダーのクロスは、相手DFに当たる可能性が大きい一方で、通るとオウンゴールになる可能性もある。しかし、ゲーム中に工夫したり機転を利かしたりするまで(タフな経験値の浅い)日本に求めるのは酷である。教えられて出来る仕事は、本当の仕事とは言わないが、そこまでチームとして大人にはなり切れていない。また、ダイナミズム(迫力)の不足、シュートモーションのスピードの遅さ、ダイレクトフッキングの少なさ、短いパス交換のミスはいつものことで、いまさらどうこう言っても始まらない。

終盤のパワープレーは、あくまで状況に応じてであり、ギャンブルを仕掛ける時に、ギャンブルをしているだけであり、時間のない、急ぐ必要がある展開ではセオリー。これは一部を除いて、どこのチームでもやるし、やらないと、時間だけが過ぎていく。ただし、やるなら、ベンチからの指示でなく、チームとして空気を読んで自らやってほしかった。やらされている感が強かった印象は拭えない。

3人目の交代枠だが、交代枠は使い切らなければならないというものでもない。流れやバランスもあり、交代で悪くなる場合もある。これも状況に応じてであり、それだけ日本のゲームだったという証左。そもそもベンチに適任が居なければ、代えようもない。

個別では、内田の表情が自信に溢れていた。これは自ずとプレーにも現れるが、これまでのプレーの軽さ(緩慢、軽率さ)が影を潜め、リスクやチャンスの先を読んで積極的にプレーしており、攻守のバランスも悪くない。こうなると、(過去、多々あった)タコミスなどあろうはずがない。現状、今の香川より欠かせない存在になっており、今大会で一番成長したといえよう。これは若者の特権でもある。

もう忘れ去られているかもしれないが、大会前に(怪我でシーズンを離脱していた)数人の選手の試合勘が云々されていたが、蓋を開けてみれば、それは関係なく、むしろ、試合勘を懸念されていた選手の方が、躍動している気がする。逆に、怪我でないにもかかわらず、シーズンの出場機会の少なかった選手が簿妙なパフォーマンスで、出場機会を得ていた選手は、2試合シュートゼロ、宇宙開発だったりと、軒並み低調だった。

選評として、全体的にさほど大きな疵も少なく、運が無かった試合であり、結果から、あれこれ愚痴をこぼしてもしょうがない。(よりによって大事な試合で)こういう試合もあるということを経験しただけよかったと思うほかない。あくまで、日本は、先々数回のW杯において、グループリーグの戦い方や突破のノウハウを経験値で構築する期間でしかない。また、決勝トーナメント戦い方を学ぶのは、さらにW杯出場10回を超えてからになる。

もちろん、今回の決勝トーナメント進出が難しいのは残念ではある。しかし、大会前、メディアや趨勢がベスト8と騒ぐ中、去年末の組み合わせ抽選会から、日本は、厳しい組に入り、グループリーグ突破はギリギリのラインと書いてきた。よって、それほど落ち込む必要もない。ここの読者であれば、承知のはずである。

ただし、現地観戦者はたまらないであろう。せっかく、決して安くはない資金と貴重な時間を割いてブラジルまで行っているのだから。愚痴の一つや二つも出るだろうし、叫びたい気分にも駆られよう。とはいえ、(98年大会と違い)3戦目が消化試合にならずにすんだだけ、やや救いはあるか。GL2戦目で敗退したイングランド、スペインのサポーターよりは、まだ、マシがあると思うよりほかない。

次戦だが、「勝つしかない」と聞いても、むなしく響くだけだ。もちろん、可能性はゼロではないが、あまりにも他力の外部要因依存が多すぎて、もはや、(なにかの宗教のように)矜持と闘志から強運を引き寄せるくらいしか手立てはなく、残念ながら、今の日本フットボールはそこまでの運を手繰り寄せるほどの歴史も伝統も無い。分かりやすく言えば、ミラクルでもない限り、決勝トーナメント進出は風前の灯である。

尚、アジア勢に目を移すと、すでにオーストラリアはグループリーグ敗退しており、日本、イランも可能性が少なく、(恵まれた組に入った)韓国以外は、すべてグループリーグ敗退となりそうだ。韓国は、ドイツと当たらなければ、ベスト8まで行くであろう。アジア勢の成績がどうあれ、中国含めたアジア市場を睨むFIFAの思惑がある限り、アジア枠が削られることはないが、アジアと他大陸との格差は広がるであろう。

【ここの古参・常連さんでない、初回、通りすがりの方へ】
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