<選評> サッカー日本代表 0-0 韓国代表  (4度目の日韓戦は?)

      
   
      
同じ日韓戦でも、その試合の重要性から、U-19日本代表に比重を置きに行った分、このフル代表の日韓戦は、普通に流して見た程度である。年初のアジアカップに影響が出ない内容と結果で収まるならば、何も問題はない。勝って弛緩するでもなく、負けて、変なアノマリーを作るでもない。このスコアレスのドローは、無難な結果と言えよう。

プライドの高い韓国としては、今回、日本に負けるのは許されない(引き分けでも足りないくらいだ)。というのは、アジアカップで優勝を目指しているというのもあるが、W杯で韓国が1-4で敗戦にしたアルゼンチンに(親善試合とはいえ)日本が勝ったことで、少なからず、衝撃があったようだ。それを隠すのが下手なのか、試合前、イ・ヨンピョのらしくない売り文句、煽り台詞の裏側は、羨望か嫉妬にしか聞こえなかった。

妙な意識が彼らのモチベーションを上げていたのは確かだが、日本も、新監督のカンフル剤などで、モチベーションは2月、5月より上がっていた。そうなったのは、もちろん、W杯での良い意味での勘違い、そして、戦い方を大きく変更させておらず、6月のままチームが維持されているからに他ならない。その戦い方も、集中力とモチベーションという土台に、堅守から縦にファストブレイクする、なんとも単純で原始的なフットボールだから、(過去の歴代監督の難しい要求に応える必要もなく)あれこれ考えたり、迷うこともないため、日本人にはしっくり来ている。

ただ、不思議なのは、あの(岡田選抜のままの)結果オーライ・フットボールに対して、ほとんど批判が目立っていないこと。別に、批判しろとは言わない。今は、結果を獲りにいって結果が出てるから、肯定される空気である。だが、面白いか、つまらないかと言われれば、面白くはない。ひとたび、流れが暗雲垂れ込めると、気ムラな外野・メディアは、ギャーギャーうるさくなる。それがアジアカップまで持ち越されたかはわからないが、常に、あらゆる状況は想定しておいた方がいい。すべてが永久にうまく行くはずはないということだ。そして、苦しい時に、どうなるのかだ。今年の2月~5月を思い出していただければ、わかりやすいであろう。今は、ザッケローニ新監督のハネムーン期間であり、ご祝儀期間だ。ちょっとした催眠気分に入っているようなものか。


さて、試合だが、<展望>で試合はタイトでタフな展開になる。と書いたので、ここの読者は承知してるはずだ。戦い方は、どうあれ、試合自体は、つまらなくはなかった。<展望>では、遠藤を使うのか使わないのか、使うなら、どこまで引っ張るのか。そのリスク許容度で、ベンチのこの試合に対する意思が計れる。と書いたが、遠藤を起用したことで勝ちたい意思は感じたものの、やや遠藤を引っ張りすぎだ。彼の調子はボールの出す位置とバックパスの回数だ。後ろでバックパスを繰り返してる遠藤は、不調の部類に入る。中村憲剛の投入が早いだろうなと思っていたが、後半の終盤まで遠藤を引っ張ったのは、あまり良い選択ではなかったかもしれない。

韓国は、スタメンが予想とは違い、やや日本を意識した面子で、チャ・ドゥリ、守備の甘いキ・ソンヨンはベンチスタートだった。逆に、(ベンチのはずの)高速ドリブラーであるチェ・ソングクがスタメンに入った。<展望>でも、彼を使い、内田か駒野にぶつけると面白いと書いたが、対面は、長友のため、それほど日本の脅威にはならなかった。パク・チュヨンのシュートが意外と枠に飛んでいて、驚いた。リーグアンでもフル出場が続いてるためか、コンディションは良いのであろう。

前半は日本の守備、後半は韓国の攻撃という構図だったが、日本のあの戦い方が、同格相手でも、まずまず組み合えたのは、やや驚いた。ただ、韓国も、自陣でボールを持ちたがらず、日本にボールを持たせてくるため、スピーチを譲り合うような局面も見られた。とりあえず、2月5月とは違い、キックオフ直後の雰囲気で、事故が起こらない限り、日本に負ける雰囲気は無かった。ミスをしたり、ボールを奪われても、すぐに取り返しに行く意識が、岡田選抜になかった部分である。前述してるように、日本は集中力が高く、迷いが無いため、型に嵌ると、厄介な相手になる。日本がうまく行ってる場合の失点があるとしたら、スペシャルなプレー、ミス、セットプレー、誤審くらい。(すべての相手が格上になる)南米選手権では、闘い方としてはあれでもいいのであろう。ただ、アジアでの格下との戦いでは、違ったアプローチが求められる。


個別では、香川真司は、マッチアップで、ほぼ止められていた。マークされていたようだが、本田圭祐のように、決められなくても、マークお構い無しの躍動、エネルギーが、今後は求められる。栗原は、高さでは計算できることは示せたのではないか。ただ、国際経験も少なく、年齢も若くはない。あくまで、吉田麻也が怪我から復帰するまでのつなぎとしか、今は見れない。長友は、ハードルを上げて厳しく指摘すると、自陣でつまらないファウルは必要ない。また、攻撃の時、確実にクロスを上げて欲しい。守備が及第点だが、今は、そこで止まってしまっている。ロングレンジのシュートがある宇賀神が上がってきたら、今のポジションも、そう安泰でもない。長谷部のあのアンドアピールは、キャプテンとしての自覚か。細貝は、ややゲームに入りきれていないせいか、危なっかしい。戦場の最前線に放り込まれた志願兵のようだった。これは、急遽入った内田もそう。あと、こういう好まざる試合でこそ、(怪我で離脱した)岡崎みたいな選手の使いどころがあるように思える。

来年1月の大会後、長年、韓国代表の屋台骨を支えてきたパク・チソンイ・ヨンピョの2人が代表引退を予定している。日本は、すでに引退する者は退き、残る者は残ったが、正直、4年後は厳しいだろうと言う面子も居る。当然、今の代表の面子が、最強ベストとは思わない。新陳代謝には、下からの突き上げが必要だ。この岡田選抜が、いつ、どのタイミングで変わるのか、それとも変わらないのか。そのあたり、この一年で注目して見ていきたい。特に、どの時点で宇佐美が加わるのか(まあ、柏木の召集は、個々人の好みの差からないであろう)。そして、アジアカップでの4度目の日韓戦はあるのか?





【ここの古参・常連さんでない、通りすがりの方へ】
*10/13時点の古い記事であり、最新情報と違う場合がございます。
*遠い過去記事まで読んだものとして、端折っている部分がございます。
*記事内容にある予想スコア、未来予測を当てる意図はござません。あくまで仮説設定です。