<展望> U-19サッカー日本代表 対 U-19韓国代表          (2010アジアユース準々決勝・ダブル日韓戦)

     
   
      
この試合は、2011年U-20W杯コロンビア大会への切符がかかる重要な一戦であるが、残念ながら懸念していた日韓戦となった。断言しておくが、どう逆立ちしても、日本に勝ち目はない。単なる相性とか、選手を信じる信じないとかではなく、そういうアノマリーである。そして、このU-19世代の韓国は世界8強である。国際経験も、実力も、日本とはレベルが違いすぎる。

そんな格上・韓国の計算はミエミエである。先日の記事でも触れてるように、韓国は、D組3節の豪戦に勝てば、D組1位通過だった。7人もターンノーバーした控組の豪に、無理して勝とうと思えば、勝てたはず。しかし、韓国も5人をターンノーバーして、豪にお付き合いした。そして、韓国は、D組2位を確定させ、(前回大会で勝てなかった)UAEではなく、(前回大会で楽勝した)日本との対戦を選んできた。これは、過去記事で書いてきた通り、予想するまでもない。韓国にとって、U-20W杯出場のかかる大事な試合で勝ちを計算できるのは、日本ということだ。

ちなみに、U-16韓国は、すでに2010年U-16アジアユースウズベキスタン大会の予備予選で敗れており、来年のU-17W杯出場が、すでに断たれている。代表ユース育成に力を入れている韓国は、ここでU-20W杯出場が断たれることはあってはならない。それを承知で、対戦相手に日本を選んできたのだから、相当、自信があるのであろう。D組で闘った豪やイランより日本は楽な相手なのであろう。ユースの日本には負ける気がしないのであろう。当然、U-17W杯ベスト8の韓国の実力からすれば、そこまで日本を俯瞰するのは当然だ。

過去のアジアユースでも、韓国は、日本を完全なカモにしている。これまでのアジアユース優勝回数では韓国が最多で、日本が(準優勝6回で)一度も優勝していないのは無関係でないと書いてきたが、まさに、韓国が日本の前に立ちはだかり、ことごとく日本の希望を紡いでいた。最近のアジアユースで韓国が日本に負けたのは、2006年の柏木世代が相手だった時のみ。このときも、U-20W杯出場を決めた後の準決勝であり、試合も柏木の奮闘が光り、延長~PKまで雪崩れみ、そこでようやく、日本が勝ったというもの(延長戦の柏木は神・支配者だった)。

もちろん、韓国の勝算は、それだけではない。今の日本をスカウティングすれば、宇佐美さえ潰せば、簡単に勝てる相手である事を知っている(すくなくとも、失点はしない)。むしろ、今の日本は付け入る隙が多く、闘いやすい。例えば、六平、藤田のチェイスに付き合わず、クロスやロングボールによる日本の最終ラインで勝負すれば、好機は増え、かつ、日本を自陣に釘付けにも出来る。おのずと宇佐美は前で孤立する。宇佐美が守備に回るような展開なら、ゲームは韓国のモノだ。仮に、宇佐美にボールが渡っても、ファウル覚悟でマルチで潰せばいい。FKを与えても、日本のFKの名手はピッチではなく、なぜか、ベンチに居るという摩訶不思議だ。

日本は、今大会、これまで1失点だが、実は、あの闘い方にしては、それほど堅守でもない。本来、スイープ&橋頭堡であるはずの藤田+六平のボランチ陣は、相手プレスの前に凡ミスが目立ち、守備が崩された場面も、相手のシュートミスに救われてきたにすぎない。当然、次のステージからは、そうもいかない。日本がミスを減らせなければ、0-3、1-4、2-4というスコアに。


この試合の焦点は、日本が、格上の韓国に勝てるかではなく、どこまで日本が出来るかである。過去の対戦の中では、前回大会が大人と子供ほどの実力差で、酷いものだったが、今回は、さらに、差が開いているかもしれない。まあ、試合が壊れずに、見られれば、万々歳というところか。どのみち、延長になろうが、PK戦になろうが、最後、勝つのは韓国である。おそらく、勝敗を分けるのは、実力差もさることながら、選手の内面であろう。チームとして、主体性があり、メンタルで大人な方が勝つ。そういう意味で、過去、日本が一度も優勝できず、準優勝6回というのも、なんとなく理解出来る。

今大会、ここまでの布監督の闘い方を見ると、相手の良さを潰し、それでいて極力、リスクは犯さないやり方である。たしかにグループリーグより、(負ければ終わりの)ノックアウト方式の決勝トーナメントを闘う手法としては正しい。ただし、それでも、やることなすことすべて上手く行くくらい展開が嵌らないと、脈は薄い。120分耐え忍んでPK戦に持ち込むか、主審や韓国のミスを待つか、宇佐美一人のポテンシャルに依存するしか、手はない。せめて、UAE戦で日本が快勝してれば、まだ、希望や芽はあったが、おそらく、日韓戦は、UAE戦の不恰好な戦い&酷い内容の再現になるであろう。一方的な展開になり、前半で試合が終了しないことを祈るばかりだ。


とりあえず、そんな強い韓国にも、割引材料はある。アヤックスの長身ソク・ヒョンジュン、そして、ドイツのハンブルガーSVで活躍する怪物ソン・ヒョンミンが、足の怪我で、今大会には参加していない。だが、これは日本にハンデをくれたに過ぎない。というのも、今回のU-19韓国FWのジ・ドンウォンとジュン・スンヨンは強力ツートップで、大会屈指の最強コンビだ。布監督自慢の守備網はズタズタにされるだろう。そんな2人を使いこなす遊撃手キム・キュンジュンの存在も大きい。

もちろん、主力落ちは、日本も同じ。本来、主力であるはずの原口、重松、宮吉、(宮市)は、クラブの都合で召集されていない。(小野は召集自体されていない)。ただ、日本の場合は、召集されなかった彼らが、ソン・ヒョンミンのレベルには程遠く、それでいて、布監督のガチガチ・フットボールに迎合できるかといえば、それまた、疑問符である。今、大会で活躍している宇佐美も、なんとかフラストレーションと付き合いながらプレーしているくらいだ。

布監督が、これまでの闘い方に変更を加えて(たとえば、加藤をボランチに投入するなど)冒険するのは考えにくい。そして、布監督の出目は、過去、U-17アジアユースのホスト開催で敗退するという大失態を演じている一方で、U-16でモンテギュー国際を勝って優勝しており、サイの目は上下どちらかに大きく振れやすい。三角持合が今、どちらかに放たれようとしてるが、おそらく下(敗退)に向かうであろう。

蛇足ながら、2011年U-20W杯コロンビア大会は、来年の(日本フル代表が参加する)南米選手権と同時期に行われるため、Jリーグが中断され、クラブの拘束権はなくなる。布監督が大幅に新戦力を加えるとは思えないが、選手は、選び放題になる。今回、U-20W杯出場権を逃すというのは、そういうチャンスすら含めて、失うということだ。


とりあえず、イングランドスウェーデンに何十年も勝てていないのと同様、アノマリーを崩すには、相当なエネルギーが必要になる。それでいて、崩れるときは、意外と簡単に崩れるものである。それが10月11日なのか、それとも20年後なのかはわからない。日本は、グループリーグ3試合(270分)で、宇佐美を半分以下(125分)しか使っていないのは、せめてもの材料であろう。もし、万が一、日本が韓国に勝つようなことがあれば、それは、先日のアルゼンチン戦以上の「神試合」になる。宇佐美が試合を決めたら、神になる。決して、大袈裟ではない。逆立ちしても勝てない相手に勝つ、流れのアノマリーを変えるには、そうとしか説明できない力が必要になる。かって、柏木がそうだったように。

確実に言えるのは、冒頭で述べてるように、客観的に見て、300%日本は負ける。(断言する)
同時に、日本の敗退で、これまで過去に書いてきた記事内容の妥当性が証明されよう。



【ここの古参・常連さんでない、通りすがりの方へ】
*日本敗戦確実の記事内容は、日本に勝って欲しい個人的な希望を切り離して書いてます。
*10/10時点の古い記事であり、最新情報と違う場合がございます。
*記事はマイノリティです。過去記事を読んでいないと、わからない部分がございます。
*記事内容にある予想スコア、未来予測を当てる意図はござません。あくまで仮説設定です。
*ターンノーバーはTURN OVERのことです。