<選評> U-19サッカー日本代表 3-0 U-19ヨルダン代表 (ターンノーバーによるコンディションの差)

      
   
     
世のメディアは、神試合だったアルゼンチン戦一色。日程がフル代表と被っているせいか、メディアもアジアユースが行われている中国にはほとんど行っていない。記事の扱いも小さい。だが、もし、万が一、日本が決勝まで行ったら、メディアの住民大移動になるのだろうか。それはそれで掌万歳、ゲンキンな話だ。ご存知のように、個人的な軸足の掛け方は、アジアユースに比重が行く。やはり、今より将来が気になる。

まず、ヨルダン戦だが、この試合は、スターターに大注目だった。何かに縛られて、変えずに行くとも読んでいたが、蓋を開けてみると、ターンノーバーをしてきた。それも、大胆なメンバー総入れ替えである。ヨルダンに塩を贈るつもり?

ターンノーバーというと、比類は違うが、EURO2004チェコ(成功)、EURO2008ポルトガル(失敗)のように、必ずしも、絶対はない。逆に、勝ってるチームをいじるというのは、流れの上でも、リスクに触れることになる。ターンノーバーして負けたら最悪の空気にもなりかねない。ただ、今回は、イエローカードが準々決勝まで持ち越され、日程が中1日であり、全員使って、場慣れしておく必要がある。なにより、(力差のない)23名全員で闘うという布さんの大事な大事な(高校サッカー)理念があり、ターンノーバーに踏み込んだようだ。

スタメンは、永井、杉本のセレッソコンビに、遊撃手に小林と古田。ボランチは、加藤と風間。CBは内田、寺岡、SBは古林(左)と田中(右)。GKは、本来第一GKの中村。とまあ、見事なターンノーバー、試合中はGK喜味田まで出す徹底ぶり。どこか、平等に菓子を与えてるような印象だ。

さて、試合だが、大量得点で勝たねば、先はないヨルダンだったが、案の定、前半からやや飛ばし気味だった。おそらく、ヨルダンは、早い時間に得点して、集中力を維持したかったはず。しかし、試合開始1分40秒にシュートを放ったのは日本。日本は、前半だけでシュート9本。見違えるようだといいたいが、これまでの三試合と違うのは、単純に指示加減の差であろう。緒戦はシュートしないイングランド、二戦目は宇佐美のワンマン、そして、三戦目のチームはパスワーク主体で既視感があり、見ていて、妙に馴染む。

縦へ急ぐ意識は共通だが、これでもかという徹底したロングボール、放り込みもなく、4-4-2の2トップにしているせいか、意外と自由に繋ぐことも許可されているようだった。これまでは、FWとDFの間で泥んこ遊びのような状態だったが、きちんとチェイスし、ボールを奪ったら、すばやく、サイドか前へ繋ぐ。

日本はターンノーバーゆえ、引き分けでもいいのだが、先制すれば、ヨルダンの集中力も切れ、試合は終わらせられる。そして、思いのほか、ヨルダンの動きは時間とともに重くなる。前半25分から、ヨルダンの運動量がガクッと落ち、時間とともに、コンディションの差が明確に出てくる。思わぬところで、ターンノーバー効果が出た形だ。中1日の3試合目と1試合目では歴然だ。そして、その差は見る見る広がる。マラソンで併走していたトップランナー2人のうち、一人がズルズル後退していくようだった。

そして、案の定、先制点は日本に。獲った時間帯も良かった。その後の展開は、見なくてもわかるほどのウイニングランに。もちろん、ヨルダンの若者の気持ちはギリギリ切れていないが、体がついていかない。結局、日本は永井のミドル二発に、小林のフィード&指宿の抜け出しからのゴールで3-0と快勝した。(ヨルダンのマークも、防御も全てスカスカだったゆえの3ゴールともいえるが)前回の記事で、ボランチを加藤+風間にすると、エンジンが変わり、展開力が増すと書いたが、そのままだった。懸念された守備は、相手が早々にヘバってくれたので、リスクは多くはなかった。

尚、この試合が行われたリンジースタジアムの座席では、地元の中国のチビっ子が招待されており、幼稚園のような騒ぎの中、試合が行われた。中国は、チビっ子の方が大人なのだろうか。反日あからさまな大人客と反応は違い、ゴールはゴールでチビっ子は素直に歓喜を上げていた。微笑ましい光景だ。


さて、過去記事で断言してきたように、準々決勝で日韓戦が実現した。シナリオ通り。次の相手が豪か韓国かなどと言ってたら、読みは甘い。韓国は日本、UAEを天秤にかけ、どちらかを選べたが、予想通り、日本を選んできた。それだけのこと。おそらく、韓国は、日本相手なら、10人でも負ける気はしていないであろう。前回大会での日韓戦0-3は、スコア以上に大人と子供の差だった。今も、何も出来ず、何もさせってもらえなかった苦い記憶となって、生々しく残っている。

今回は、10月11日、12日に、ユース、フル代表でそれぞれでダブル日韓戦だ。12日は、日韓戦での年内同一カード3連敗阻止を賭けて。11日は2大会連続でU-20W杯出場が断たれるのを覚悟で。それぞれ、日本サッカー界にとって運命の二日間になる。11日は、反日サポーター&完全アウェイというオマケ付だ。仮に、12日にフル代表が勝っても、11日のユースで負けてしまえば、あまり意味もない。逆に、11日に勝てるものならば、12日は、いくらでも負けてくれという気分だ。現実的には、過去記事に書いてきたように、U-19日本は、U-19韓国に200%敗戦濃厚。(断言する)。負けるとわかっていても、辛くても、見るしかない。

メディアは、2大会連続のU-20W杯出場を逃すことになる損失を、国際舞台から6年も遠ざかる現実を、もうすこし重く受け止めた方がいいだろう。しかも、今回は、100%ベストメンバーでないものの、それなりの準備はしてきた。組み合わせの運の悪さもあるが、6年間、アジアでベスト4には入れない事実を直視すべきだ。ちなみに、韓国に敗れれば、次回大会も、日本にシード権はない。


【ここの古参・常連さんでない、通りすがりの方へ】
*客観予測は日本の敗退濃厚としてますが、日本に勝って欲しい(裏返しの)気持ちに変わりはないです。
*10/9時点の古い記事であり、最新情報と違う場合がございます。
*遠い過去記事まで読んだものとして、端折っている部分がございます。
*記事内容にある予想スコア、未来予測を当てる意図はござません。あくまで仮説設定です。
*ターンノーバーはTURN OVERのことです。
*好き嫌いを省いて書いてます。