J・LEAGUE★総括 <前半戦を振り返って>

  

  
まず、09のJ・LEAGUEは、初昇格・山形の善戦、新潟の好調、浦和の変身具合、ACL組のACLでの躍進と、話題性に事欠かなかった。その一方、大分の10連敗という嫌なニュースもあった。リーグの上位、中位は混戦といえば混戦だが、去年ほどではない。新たに設置されたアジア外国人枠を有効に使ってるクラブとそうでないクラブも顕著だ。特に、磐田のイ・グノ、大阪のチョ・チェジンは、かなり有効活用できたといっていいだろう。また、今年からACLに4クラブ参加しているが、その4クラブがすべてACLグループリーグを突破し、リーグでもすべて10位以内(うち、3クラブが5位以内)というのはすばらしい。

特に、上位陣でも鹿島の充実振りは目覚しい。なにより攻守の切替が早く、カウンターがうまく、セットプレーもモノにする。マルキーニョスの個に依存せずとも、チームがチームとして前へ進んでいる印象が強い。小笠原、青木のボランチが心臓だが、野沢、本山のアクセントもよく、2トップが日替わりになっても問題ない。シーズンのどこかでポケットはあるが、現状では、3連覇の可能性は、高いといわざるをえない。

大阪、川崎は似た者同士というか、鹿島と違い、安定感がない分、爆発力があり、勢いにのった場合、どこも彼らには勝てないであろう。この両者はACLでぶつかり、どちらかが消えるが、それもリーグに影響するはず。(済んでしまったのはしかたないが)川崎が浦項に負けたのは、Jリーグ全体をも左右するかもしれないということだ。

オフにほとんど補強しなかった浦和は、やろうとする指標(容)を投げ出さずに完遂している。開幕前は、ヤング5の若手が機能するかギャンブルだったが、今のところ、(思い切りの良さで)なんとかごまかせている。個でチームを作っていない分、誰がプレーしても遜色ないチームの方向性が、それを可能にさせている。ベテランが(文句を言わずに)監督に忠実になっているのが大きな要因でもある。

名古屋は悲観することはないだろう。ややダビ頼みの試合もあるが、ダビがいなければ、落としていた試合もあった。もともとやることを明確に持つチームだけに、修正するのではなく、初心に還り、元に戻せばいいだけだ。ベンチの手腕にかかる。まずは、6月のACL水原戦。当面、それが一番の天王山になるであろう。

広島は、やること、容が明確にあり、もともと実力があるので、躍進というより、あれぐらいやれて当たり前としておこう。あのスペクタクルは川崎と二分するくらい見ていて面白い。

躍進といえば、新潟、山形の雪国チームだが、やることをしっかり持ち、それを遂行している。新潟はリシャルデスを中心に、生まれ変わった印象だが、それ以上に、なにか芯のようなものを感じる。山形は、あのGKを代表に呼んでいいくらい、まとまりを感じる。あとはJ1のノウハウ不足をどこまで解消できるかであろう。

京都、大宮、神戸は戦力は申し分ないが、やりたいことと現実がアンマッチになっている印象。波に乗り切れていないというか、どこかで流れ、タイミングを掴みたいところ。そこで勝ち点を稼がないと、すこし厳しい状況にも。開幕が苦しかった磐田は、イ・グノを加えてからは、なんとか戦えた。あとは怪我人の復帰を待ち、戦い方を決めて、戦力をシャッフルできるかであろう。

清水、横浜は、開幕前に優勝争いすると予想していたが、まずまずであろう。序盤からぶっちぎる必要はなく、戦いながら、ペースを掴んでいくだけに、夏クラブの清水はもちろん、横浜も、後半、カチ上げしてくるはず。ブレイク後の7月には、中村俊輔がJリーグに復帰する予定。彼が横浜に入って、山瀬、狩野、小宮山が脇役として切れ味を増すと、リーグの中では面白い存在に。FWにヨンセンのような「高さ」を取っていたらと思わないでもないが、中村俊輔のFKがチームを救うシーンもあるのではないだろうか。


降格、残留争いは、大分、柏、千葉にフォーカスされそうだが、戦う容を持ちつつある大宮、山形、京都も内容に比類せず、戦績は思わしくない。また、守備意識は高まってるものの容のない東京も不味い。東京については、石川の頑張りがあるものの、負け試合、勝ち試合と内容と結果がそれぞれが伴っておらず、かなり不安定な印象を受ける。磐田もグノ効果がどこまで持つかというところで、中盤、守備のさらなる構築が必要。いまのところ、この8クラブに降格、残留争いの可能性があるといえよう。

大分については、監督更迭ではなく、けが人で欠けたところを補充しなければならない。今の大分は、監督を変えても意味はない。そもそも監督責任以前に、あれだけ主力を怪我で欠いたら、(英国のニューキャッスル同様)どこでもああなってしまうものだ。下手に監督更迭すれば、本当にニューキャッスルになってしまう。

千葉は、恐怖心が植えつけられているのか、せっかくリードしていても、後半の守りに入る意識の時間帯が早すぎて、それでいて、切れ味あるカウンターを持っているわけではない。ボールカットしても、キープできず、クリアしても、たやすく相手にボールを渡してしまうから、守る時間が余計に長くなってしまう悪循環。なにより、チームとして時間帯ごと、エリアごとに何をするかの共通認識がなされてないから、連携も不味い。これはベンチの責任といっていいだろう。

柏は、耐えるしかない。負け数が少なく、勝ち数も少ないのは、ほんのすこしの運と胆力が必要な状況。キレなければ、浮上するが、空気がこのままだと、やや危ない。選手の士気はもちろん、ベンチの手腕が大きくと割れるであろう。


とりとめもなく、やや箇条書きに書いてきたが、各チームの力差は、目に見えるものではなく、内包された力によって、差が生まれているといえよう。代表戦に隠れがちだが、ナビスコの戦いにも注目だ。


*あくまで個人的な所感であります。