日本代表発表がトップニュースの深度

　　
　

ＷＢＣの日本代表発表がスポーツの大きなトップニュースになったが、すこし大袈裟というか無理があるように感じた。もちろん、ＷＢＣキャンプが満員御礼の盛況なのは知っているし、期待感は少なからずあるし、野球日本代表が勝てばそれなりにうれしい。しかし、とりたてて騒ぐほどのことでもないだろう。いまさら、という感は否めない。メディアの盛り上げがやや過剰なのが、すこし鼻につく。

わかりきってることでもあるが、サッカー日本代表のワールドカップメンバー発表にくらべれば、格段の差がありすぎる。サッカー日本代表のワールドカップメンバー発表時ともなれば、緊張度合いも高まり、発表が生中継されるくらい、日本中が注目する。前回、ジーコがメンバー最後の一人に久保でなく「ムァキィイ」と発音した時の、記者団の「オオオオオォォォォォォォォ」という反応は印象的だった。各クラブからは代表選手のコメントやら記者会見が行われるくらいで、サッカーはメディアが過剰な反応をしても、さして違和感はない。（やりすぎというのはあるかもしれないが）

はっきりいって、実力と歴史、なにより余裕の差である。野球はすでに世界トップレベルの域にあり、すくなくとも、世界へのチャレンジャーではない。世界王者に手が届く。逆に、サッカーは、世界のトップはおろか、ベスト２０にすら入れていない。その分、成長プロセス、伸び白、余白を楽しむ部分はある。サッカーは野球のように勝って当たり前ではなく、ワールドカップで勝ったら大騒ぎなのである。その部分で応援する気持ちがエスカレートすると、勝ちを義務付けたくなる勘違いを引き起こしたりもする。

とりあえず、ＷＢＣの日本代表発表の面子を見ると、和田が外れたのがすこし意外だったが、すこし平均値的な印象もなくはない。国際舞台で相性の良い上原がいないのは仕方ないが、（お約束通り）中日の選手はいないし、藤川と岩田も阪神ファンとしては、親心のような杞憂のタネでしかない。ただし、イチローの存在は頼もしいし、福留、岩村が下位に連ねる打線に加え、松坂が打たれれば、正直、仕方ないで済ませられる部分もある。おそらく、最高、ベストメンバーが決められないくらい、分厚い実力の層があるといえよう。

とりあえず、ＷＢＣは、北京五輪のようなモチベーションの高さと気概だけで行く雰囲気ではなさそうだ。戦うスペックは整っている分、言い訳もできない。監督とコーチスタッフの国際経験とベンチ采配のギャンブル度合いが勝負を分けるのではないだろうか。そういう意味では、そこが日本の割引材料かもしれない。ともあれ、フェアプレー精神がモットーの日本だけに、野球こそ、マリシアなく世界に勝負出来る唯一のツールともいえよう。

＊野球とサッカーを比べるのは滑稽だということを含んだ上で書いてます。