<戦評> 日本 0‐0 パラグアイ

  
前売りチケットが余りに余り、当日も人が少ないと聞いていたが、東川口、浦和美園に着いた段階では人混みで、いつもの風景と変わらなかった。しかし、スタジアムに着いて、納得。両アッパー、ロアーのコーナーはガラガラのありさま。グズグズの五輪予選でも、もっと入っていたような気する。だが、最終的に27998人と、そこそこ入ったようだ。正直いえば、代表戦は空いているほうがありがたい。

国歌斉唱はゴスの5人。過去、ケミストリーの斉唱あたりから複数ok路線に変わったのか。

日本の先発布陣は4‐5‐1(もしくは4-2-3-1)。中盤をタレントで厚くした容。普段のJクラブ視点からすると、山瀬、中村憲剛、遠藤が一緒にいるだけでも、すごいのだが、これに中村俊輔が加わり、ジーコ時代の「黄金の何とか~」を彷彿とする。スペクタクルにボールを細かく繋ぐものだから、ジーコオシムのいいところ取りにも見える。しかも交代で、松井、長谷部、高原が次々に入る。もう、こうなると、どこか不人気、(不入りの)客にデモンストレーションしているようにも映った。たしかに、山瀬、中村憲剛、遠藤、中村俊輔、松井、長谷部、高原という布陣は、今、観戦者、視聴者が見てみたい日本代表のひとつの形だったかもしれない。だが、結果的に形までで、相手が悪かった。


パラグアイが国内組だろうがなんであろうと、正直、あのパラグアイから点を取るのは、なかなか難しい。イングランドでも無理でしょう。どのみち、日本に決定力はないのだから、ポイントは、彼らをどれだけ慌てさせられたかになる。まずまず、何度か惜しいシーンは、あった。前半、中村俊輔のカタパルトから放たれた放物線は、闘莉王がヘッドであわせたものの、GKの正面だった。ヤン・フェネホール・オフ・ヘッセリンクだったら、決めてたのだろうか。中村憲剛の惜しいミドルは、ふだんからJリーグでやっているスタンスの表れともいえよう。結局、先日の記事でも触れたが、日本は、ここ数年で培われた選手のポテンシャルに依存するしかない。だから、岡田監督も守備以外は事細かい事は言ってないはず。(攻撃について、監督が仕切れる限界もある)

ただ、後半、メンバーがあのように入れ替わってしまい、連携は後半の方が悪かった。調子が良くない遠藤、鈴木がいなくなって、まともになるかとおもいきや、やはり、テン乗り、その場当たりの連携には無理があった。

とはいえ、本当に、あのような前半の立ち上がりに見せたパス主体のフットボールでワールドカップのアジア予選を戦うのかといえば、また、違ってくるであろう。アジアの予選は世界(ワールドカップ本大会)とイコールにはならず、まったく別物の闘いになる。基本的に、あのパスサッカーが組み合えるのは世界の舞台のみ。よって、アジア予選で苦戦したから、ワールドカップ本大会もどうのこうのとはならない。

おそらく、日本は次のオマーンで苦戦するかもしれないが、それは強い弱いという範疇ではない。日本は、ドン引きの相手に対し、得意のパスサッカーとは違う、余所行きの闘い方(強者のフットボール)で、強引にアジア予選を突破するしかない。チームとしてのやりたいことは、秋口に、ある程度の容が出来ていればいいと、かなり楽観的に考えているが、あとは、稲本、中田コ、佐藤久、五輪から森本、柏木、梅崎、特にサイドの人材が加わり、(誰とはいわないが)誰かが押し出されれば、人選完了となる。小笠原、小野はバックアップ的な存在になるのでは。(小野は怪我を懸念して呼ばないかもしれないが)。高原については、もう、去年のアジアカップの出来を期待するのは難しい。元に戻るには、あと半年、下手すると1年以上かかるかもしれない。FWについては、田中達也の復調、J2の佐藤久、新鋭の森本に期待するしかない。


日本に居て、われわれは気づきにくいのだが、昨日、日本がやっていたフットボールは、アジアでは最高峰にある。あのように、中盤でショートパスを繋げて、ゲームを作る国は、アジアでは、しいて北朝鮮くらい。一番、欧州に近い国は日本である。われわれは、スカパーなどのコンテンツで目が肥えすぎてしまっているようだが、それなりに、まともにはなっている。(だから、外国人記者は驚くのであるが)。