浦和の連勝で勘違いしないように…

 

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17位 浦和
18位 札幌

…懐かしい開幕時の順位。

開幕2連敗後、引き分けを挟んで浦和は6連勝。高原にも初ゴールが生まれ、阿部がリスクを摘み取り、攻撃面では闘莉王が予測不能の働きをする。

負けてないため、浦和の見栄えは良く見えるであろう。よくなってきたと思う人も少なくないだろう。だが、逆に、そう思う方が多いと、すこしハウリングが起きそうだ。浦和の現状は開幕時とあまり変わり映えはしていない。変化があるとすれば、監督の采配ぐらいだろう。

そもそも開幕前、巨大戦力補強でマスメディアによって煽られた浦和への実力が、まるでバブルのように膨れ上がっていた。だが、蓋を開けてみれば、当ブログで予想していた通り、なにも形のないショウウィンドウのディスプレイのようなチーム状態だった。そして、それは連勝の影に隠れながら、今なお、揺曳している。中盤の構成力はほとんどなく、前線と最終ラインは間延びしてしまう。連携は合わない。つまらないミスも多く、集中力に欠ける時が散見する。鹿島や名古屋のように、自分達のやりたいフットボールで、チームで意図して点が取れていない。ワシントンがいた時のように、個で勝負するのかすら曖昧だ。案の定、前線のFWはやや下がり気味で、パスを選択しがちで孤立し、フォローもないため、どこかちぐはぐ。再び、バタバタと連敗してもおかしくはないのだが…。

浦和サポーターでも分かっている人は、分かっている。今の状態が、決して100%ベストではないということを。決して、浦和は強いから勝っている訳ではない。だが、ここにきて、すこし脈が違ってきた。本来、不完全なまま5月最後の大阪戦まで、なんとか騙し騙し行くしかなかったが、予想外の連勝。いや、なにより予想外なのは、ポンテが戻るまでは我慢というシノプシスのはずだったが、彼が戻る前に勝ち星を重ねてしまい、すこし時計の針が早く進みすぎている感もある。このままだと、他クラブからの警戒心は高くなる。ただでさえ、相手は「アジア王者」というメガネをかけてくる。

案の定、連勝でマスメディアは「強い浦和」を煽り始めてきた。またもバブル再熱か。客観的に見ると、リーグで安定感があるのは、名古屋、横浜、鹿島。特に、ACLの過密日程で奮闘している大阪、鹿島の方が株は上のはず。これは、浦和自身、去年、ACLを経験しているから、分かるであろう。また、名古屋もここにきて連敗したが、自分達のやろうとしていることが一貫しているため、なにも悲観する必要はない。決して、大崩れして負けていないところで、逆に底堅さを感じる。


浦和のゲームにおける不安定感(構成力)は、リーグ最下位の千葉となんら変わりはない。千葉と唯一、違うものがあるとすれば、暗いムードを作らず、ないふりかまわず「リスクを負っている」からでしかない。
 


*あえて、辛口で書いてますのであしからず。勝利を喜ぶのとは切り離してます。