FIFAランキングを安易に使うのはいいかげんに…

 
FIFAランキングを重宝してるのは、サッカー後進国か日本のマスメディアくらいのものであろう。今回のワールドカップ・アジア三次予選においても、日本のいる予選2組でのFIFAランクは日本が34位で、オマーン92位、バーレーン100位、タイ107位と続く。日本だけが30位台で他は100位台前後。(メディアによっては、バーレーンオマーンは前回予選で対戦して苦戦したと報じるところもあるが)大半のメディアは日本以外は格下というニュアンスがほとんどである。

単純にランキングから見れば、日本はすべての試合を快勝して当たり前になる。先日のハンドボール騒動で大きな勘違いをした人が続出したかと思うが、視聴者は、どうしても、そのように(日本が強い)刷り込まれてしまう。そして、快勝できないと、駄目出ししたり、波乱、苦戦とする。

しかし、FIFAランキングは、あくまで「なんちゃんてランキング」であり、実情は、これほどの大きな開きはない。普段、サッカーを見ない者、知らない者に対して、たしかに強弱の判断にFIFAランキングを使うのは妥当かもしれないが、使う以上は、「このランキングはあくまで目安ですが…」「FIFAランキングは正確ではないのですが…」「このランキングほど実力は離れていない」という一言や補足は必要である。むしろ、昔は、解説者がそういった補足をしていた気もするが、今では、それもない。何かの信者のようにこのFIFAランキングを信じきってしまっている。

オマケに、FIFAランキングを安易に使うマスメディアの姿勢が、代表チームには、無用なプレッシャーにもなっている。代表監督である岡田氏はこう語っている。
 「いろんな人がタイには負けないだろうと言っている。しかし、そう言う人はだれも責任を取らない。我々はそれでは済まされない。責任を取らされるのは我々だ」

試合後に駄目な内容を批判したり、あれこれするのは良いが、戦う前から、楽勝ムードを煽るのもどうかと思う。フットボールはワンマッチであれば、何が起こるかわからないし、さほど力の差は出にくい競技である。

どうすればいいのかというと、メディアごとに独自の見解を述べていけばいいだけだろう。新聞の社説ではないが、それによってメディアごとの見識やレベル、特色が出る。皆が皆横一線にならず、評論の競争になれば、受け手も選択肢が増えて、私見のレベルアップにもなる。そもそもランキングとは、ボクシングやテニスなどのような個人競技に有効なものであり、フットボールでのランキングなど、実質トップ10ぐらいしか意味はなさない。いつしか、マスメディアがFIFAランキングに目も暮れず、馬鹿にするようになる時代が来るのであろうか。

では、最後に、ワールドカップ三次予選において、徒然フットボール的に、日本、タイ、オマーンバーレーンを(アバウトに)点数化してみた。

日本 …78点
バーレーン …67点
オマーン …62点
タイ …58点

多少、点数がブレたり、前後するかもしれないが、だいたいこのようなニュアンスに落ち着くであろう。決して日本がブラジルのようにダントツに抜けて大勝できるわけではない。加えて、意外と、バーレーンオマーン、タイによる残りの1席争いが面白いかもしれない。