岡田新監督就任会見 全文  (2) 徒然的一問一答ツッコミ節



――フランス大会後に、もう一度チャンスがあれば代表監督をやりたいという意思はあったのでしょうか? 10年前もスクランブル登板で今回もスクランブルで、何か運命的なものを感じますが

岡田 10年前のことはあまり覚えてないんですが、10年前に代表監督を辞めたときに、もう一度代表監督になるというのはその後もずっと考えていなかったです。
 前回と今回については、人生って分からないもんだなあと。Jリーグ(チーム)のいくつかのオファーを受けていたら、代表監督はおそらく受けられなかったと思います。(Jリーグチームのオファーに対して)何か違うと感じていて、そしてこちらのお話をいただいたときに、まさかそんなことがあると思わなかった。自分なりに、来年1年間にこういうことをやりたいという目標があって、それに対するいろいろなことをやっていて、ところがそれをすべてを超えるような、やってやろう、やらなきゃいけないというか、ここから逃げちゃいけない、チャレンジしないといけないという気持ちが沸いてきた。これは、運命的というよりは感覚的にそう思いました。周りからはそういうことを言われることもありますが、自分自身はそう思っていないです。
自分が好きか嫌いかで判断はしてないようだ。これは自分に厳しくて、責任感の強い人ほどそうなる。生真面目さで自分を殺してしまう危険性も内包している。基本的にリスクは取らない監督であるが、追い詰められると思い切りのいいところもなくはない。



――これまでのオシムジャパンへの評価、感想は?

岡田 僕は評価はできないですが、少なくともやろうとしていることは非常に感じとれた。ボールを早く動かして攻めていきたい、だからといって前に急ぎ過ぎて、ゴール前に人数が足りないというのではなくて、ある程度、全員が押し上げた状態でやりたいんだなと。
 ただ、まだおそらくオシムさんの頭の中では過渡期だったと思います。ここからこういうのを付けたいんだろうなというのは感じていました。いろいろとほかのチームで人のサッカーを見ますが、こうしたいんだろうなと感じられることは、それほど多くないんです。そうした意味では、しっかりとしたコンセプトを持っておられるんだろうなと思います。内情は全然知らないですし、オシムさんとはよく話はしましたが深く話したことはないので分かりませんが、そういう感想を持っています。
オシムジャパンをもっとわかりやすく言えば平面サッカー。組織でボールと人が動き、ズレやミスマッチを生んで相手を崩していく。だから先読みと運動量が必要になる。岡田氏は、共感しているようだが、結局は人を入れ替えして、自分の色を出していくかになる。おそらくオシムのような自分の戦術に見合う人ではなく、まず、選手ありきのスタイルになるのでは。



――10年前は協会のサポート体制が十分でなかったとおっしゃっていましたが、今回、そういう話をしましたか?

岡田 10年前は若かったですからね(笑)。今回は何も言っていません。逆にもっとやってもいいんですよと言われますが、僕はコーチに対しても信頼していますし、現時点でどうこうとはまったく考えていません。私からは要求していません。それはなぜかというと、結局は私が受け入れればいいことであって、それを受け入れられる年齢になったということだと思います。
今のスポンサー偏重など、なんでもかんでも受け入れていたら、ただの傀儡に。


――しばらく現場から離れていましたが、それについて不安は?

岡田 ずっとやっている人の方が少ないと思うんですが、そんなことは考えていませんし、そんなさ細なことが不安なようではこんな大きな仕事を引き受けられないです。1年半ほど離れたことが自分にとってはいろいろな意味で勉強というか、人間としての経験になったかなと思っています。
これはおっしゃる通り。質問者が○○。



――12月に一度招集するということですが、選手選考のコンセプトは?

岡田 来年の1月15日からオフ明けの10日間で、コンディショニングをやらないといけない。10日間で全面的に新しいチームを作れる自信はありません。そういう意味で、今までの土台の上に立ちながらいきたいと思っていますので、今まで選ばれたメンバーが中心になります。その中で、各チームでの調子、けがを考慮して選ぶことになります。
オシムが日本代表監督就任時、浦和のメンバーをそのまま代表に流用したのと同じ論理。岡田新監督は、ハナから下手にいじらないだろう。なにより、ぐしゃぐしゃになるリスクをわざわざ取らない。



――12月に一度招集するということですが、選手選考のコンセプトは?

岡田 来年の1月15日からオフ明けの10日間で、コンディショニングをやらないといけない。10日間で全面的に新しいチームを作れる自信はありません。そういう意味で、今までの土台の上に立ちながらいきたいと思っていますので、今まで選ばれたメンバーが中心になります。その中で、各チームでの調子、けがを考慮して選ぶことになります。
岡田氏による選考は、先送りに。おそらく、来年の6月には半分は変わっているであろう。



――オシムさんのサッカーが過渡期だと感じられたとおっしゃいましたが、岡田さんなら何を新たに付けていきたいですか?

岡田 今、あんまり言わない方がいいと思います。オシムさんが元気になってから、どこかの雑誌で対談でも企画してください。そのときに僕も聞いてみたいと思っています。
サカマガ、サカダイ、どこかの出版社さん、はやく企画してください。



――世界のサッカーと日本サッカーの距離感は?

岡田 10年前に比べて確実に進歩していると思います。日本というチームはいろいろな意味で、サッカー協会を含めた多くの指導者、そしてオーガナイズがきちっとできて今の構図があると思います。好き勝手にみんながやるような構図だったら、日本はまだ上にいけていない。アジアで浦和レッズがチャンピオンになれたのは、現場だけでなくそういういろいろな努力があったおかげだと思いますし、それが日本の強みだと思います。ただ、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に来年は3チーム(浦和、鹿島、G大阪)が出るわけで、代表の予選の日数がたくさん入っているので、ACLに出る選手はものすごい日程になります。そうすると……、これは質問と関係がないですね(笑)。まあ、そういう感じです。
日本は進歩しているが、世界はその倍以上、進歩している。



――ワールドカップ予選をどう戦いますか?

岡田 まずは2月6日のタイ戦を戦って、1試合1試合前の試合を振り返りながらステップアップしていこうと。全部をこういうコンセプトで戦うという時間はありませんので、最初のオフ明け10日間以外は、全部試合前の集合になります。そういう意味では、1試合1試合積み重ねながらやります。
 ただ、6月の4試合(W杯3次予選)に関しては1カ月ほど選手を拘束できるので、ここではある程度統一したものが作れるんじゃないかと。まず、タイ戦とバーレーン戦で現状の中で勝つことを目指していきたいと思っています。
やはり、ほぼぶっつけ本番。



――6月に1カ月拘束できるということですが、Jリーグとの合意がすでにできているということですか?

川淵 ほとんどそういう合意ができています。W杯予選のスケジュールに2、3日余裕ができるようなので、それも含めてJリーグ日程で水曜日開催を土曜日に変えるようなことも頭に入れながら、Jリーグは選手招集に対して全面的にサポートしてくれます。
合意してなくても、強引に組んでしまうでしょ。あなたは。



――代表監督へのプレッシャーはすごいものがありますが、就任にあたってご家族の反応は?

岡田 代表チームのプレッシャーはあなたよりも私の方が知っていますが(笑)、家族はまさか引き受けると思わなかったようで、一様に驚いていました。ただ、あきらめたみたいで、「もう知らない」というようなことを言っていました(笑)。
たしかに、割の合わない仕事だから、家族としては快くは思わないでしょう。