<選評> 広島 0-0 京都  …広島降格、京都昇格…

天国と地獄を味わう両チームのサポーターには失礼かもしれないが、これほど面白く、手に汗握る試合はない。すくなくともCWCより確実に面白いし、思わず見入ってしまう。去年の福岡対神戸もそうだったが、真剣勝負の淵と背を歩く両チームの緊張と気迫は、まるで、かってのワールドカップのアジア予選のような死闘だった。

この試合の広島は、いままでがなんだったのかと思えるくらい、別のチームのようで、良かった。きちんと最終ラインから組み立てて、サイドへ散らしたり、縦へ通したり、前線へ放り込んだりと、攻撃の形は見せていた。後半ロスタイム、最後のあそこでオーバーヘッドがポストに当たらなければ、劇的ドラマティック残留弾だったのだが、無常にもゴールは外へ逸れてしまった。

0-0コースで、後半、30分以降にどちらかに点が入るとわたしは踏んでいたが、結局、最後まで0-0で行ってしまった。この0-0というスコアは意外であった。今までの広島の守備を考えれば、失点は免れないと見ていたが、この試合は終始攻め立てていた分、守備の時間は比較少なかった。京都も終盤に失点しなかったのは評価できる。加藤監督は要所要所で我慢しながら、うまく選手交代がなされていたといえよう。後半、4バックスの4-3-3にしたことで、広島のサイドは多少窮屈になり、うまく対処した。相手をリスペクトした采配でもある。

昇格する京都だが、一年での返り咲きは見事だが、J1では再び苦しむのではないか。パウリーニョの退団が決定的で、正直、このチームがJ1残留できるかは?である。ひょっとすると、来年、再び広島対京都の再戦なんてことも。きちんとした補強は急務であろう。

広島は降格したことで、主力のウェズレイ、佐藤、駒野、柏木あたりはどうするのだろうか。広島はユースが優れているだけに人材で困ることはないとは思うが、柏木は他所のJチームのカラーではないと思う。降格は決まったが、まだ、天皇杯がありシーズンは終わっていない。ずっと勝てていないのだから、次の天皇杯は勝っておかないと、来年まで勝利がお預けになってしまう。