<選評> 日本 1-2 フランス 【U-17】 ・・・とにかく、逃した魚は大きい。

歴史は繰り返す。・・・とはこのことか。

いったい、何度見せられてしまうのだろうか。去年のドイツワールドカップのカイザーの悲劇、今年6月のU-20W杯のチェコ戦といい、せっかく勝てる試合をみすみす落としてしまう。それも短時間で、あっという間に失点してしまうシーンなどそっくりである。わかりやすいというか、集中力の欠如というか、メンタルの弱さというか、まるでサッカー日本代表の定説になりつつある。いつになったら、イランやイタリアのごとくスリのようなチームになるのだろうか。(いや、永遠になれないのであろう)

実際、フランスは組みやすい相手であった。フランスはシュートミスも多く、オフサイドやポストにも救われ、十分に引き分けられる展開でもあった。ただ、日本は前2戦から抱える問題を完全にクリアしきれなかった。あいかわらず中盤でのミスパスは多く、まるでビルドアップできないから、安易に縦パスを通そうとして、ことごとくカットされ、マイボールを簡単に失う。本質はベトナム、マレーシアのチームと変わらない。

日本の右サイドは何度もぶち破られてしまい、逆に日本のサイド攻撃は皆無。柿谷のゴールもチームで取ったものではなく、あくまで柿谷の個人技によるも。ただし、あれはあれで見事。国際舞台であれが出来る日本人の17歳はなかなかいない。オシムもあの彼のセンスはチェック済であろう。現在のだらしない五輪チームに入れてもいいのでは。

また、城福監督はハーフタイムに釘を刺す一言はなかったのであろうか。
「後半に、たとえ、一点取られても、引き分けだから慌てることはない」という一言はなかったのだろうか。
同点にされた時、あきらかに選手に動揺があった。別に同点の引き分けでも問題はないのに、勝手に自分たちで自分たちを追い込み、ドイツやカナダで戦った日本代表のように自滅してしまった。

スコアは1-2だが、事実上、0-2といっていい。それだけフランスは自分達のフットボールをしていたし、日本は攻撃しても、それは偶発的というか、明確に意図されたものではなく、単発であった。


日本が敗れたことにより、同じアジアのシリア、北朝鮮は同じ3位でありながら繰り上がりで決勝Tへ進んだ。日本は入った組が悪かったいうしかない。ニュージーランドホンジュラスのようなあきらかな格下がいないばかりか、フランスに引き分けたハイチは確実にシリア、北朝鮮よりも強い。

GK廣永はPKに強い。決勝Tに入れば、活躍のチャンスもあったであろう。3位で決勝Tへ上がる可能性はあるにはある。説明しておくと、今、日本は3位グループでは「①北朝鮮、②シリア、③日本、④韓国」と韓国の上。なぜか3位にアジア勢が集中してる。残りの2組のF組の3位は確実に日本を上回るので、E組が対象になる。E組でチュニジア、ベルギーが勝てば、日本は3位グループの最後の椅子・四番手として決勝Tへ。ただ、たとえ、そうなったとしても、2連敗の後遺症とモチベーションの急落で、さして強くもないイングランドには惨敗するであろう。一度、切れてしまった糸は数日では繋がらない。

また、今回、U-17の面々は、二年後のU-20W杯エジプト大会では、半分も残らないであろう。おそらく、大阪ユースが主体になるのではないだろうか。いっそのこと、今大会に大阪ユースの宇佐美でもスーパーサブとして呼んでおけば、次回の経験にもなるし、面白かったかもしれない。

とにかく、逃した魚は大きい。