<選評> 日本 2-0 カメルーン

ちょうど去年の今頃、国立競技場のトリニダード&トバゴ戦の後、川淵の退陣要求デモが行われていた。早いもので、もう、一年である。すでにアジアカップベスト4という結果も出ている。来年はワールドカップの予選が始まるが、こういった親善試合も今後は少なくなっていくであろう。

日本対カメルーンの試合は0-0ではなく、1-0というスコアでゲームが進んだため、そこそこの展開となった。前線が千葉枠の「羽生、山岸、巻」から、「山瀬、大久保、前田、田中達也」になっただけだが、それでも、弧から槍を突くような印象が加わった。そして、谷間といわれたアテネ世代がスタメンの7名(田中、大久保、前田、鈴木、阿部、駒野、闘莉王)というのもすこし象徴的である。これにゲームメイカーの遠藤に、守護神・河口、中澤というDFを加えただけである。

そういう意味では、あらゆる角度から見られるスタメン布陣でもあった。しかし、半落ちカメルーンは痛すぎる。いくらなんでも日本に0-2はないであろう。すでに一試合終えてきたかのような疲労感が見ていてありありだった。いくら、彼等がばんばろうとしても、本来の彼らでないことは明白だった。よって、わたしは22日に行われた3試合でこの試合が一番眠かった。面白いかどうかではなく、勝っても負けても、さしてプレッシャーはないという弛緩もあった。

最後に山瀬が決めたのは素直に嬉しい。アジアカップでも、ああいう思い切ったゴールを決めていたのは高原ぐらいだった。すこし苦言を呈すると、遠藤は今の代表では輝かないのか。もちろん、やることやっているのだが、すくなくとも、大阪の遠藤に比べると、俯瞰するような怖さがない。佐藤ももうすこし存在感を出さなければ、このまま消えてしまうことも。今野をサイドバックで使っても、野球でいうところ、イチローをファーストに据えてるようなもので、逆に持ち味を殺している。未来の保険のために起用してるのは分かるが、すこしテストのしすぎで、これではテストと本番の区切りさえわからなくなる。永遠にテストしてるかのようでもある。

とにかく、この試合で「山瀬、大久保、前田、田中達也」などの効果が確認できれば、今後、千葉枠の「羽生、山岸、巻」の処遇にも注目はいく。今後、彼らが使われなくなれば、この一年間、つなぎのような役割だったということであり、使われれば、(通用するかは別として)バリエーションの拡大ということになる。次のオーストリア遠征メンバーはさて?