<選評>U-22日本代表 3-1 U-22マレーシア代表

一昔前、日本がマレーシアにさえ適わなかった時代があったが、今日のマレーシアには、その日本が勝てなかった名残というか、技術云々ではない、言葉には出来ない理由がそこはかとなく見え隠れした。

黄色と黒のストライプのユニフォームは、どこかアフリカの強豪か中東のトップクラブを思い起こさせるが、彼らの動き、モチベーションの高さは日本を(好きにさせなかったという部分で)十分に苦しめたであろう。ほぼ6~8バックスのようでもありながら、執拗にチャージしてくる彼らに、日本の縦パスはことごとくマレーシアDFの網にかかっていた。もともとフィジカルで彼らはわれわれ日本人に負けていない。むしろ勝っているくらいだ。かたや、日本も急場の「寄せ集め感」は拭えず、やはり連携、パスワークで合わなかったりする場面が散見された。

そもそも消化試合であるため、面白みや迫力や真剣さが試合に出る方がおかしいのだが、マレーシアの集中力はすくなからず試合をつまらなくさせなかった(もちろん、日本視点では?だが)。0-3から1点を返した時の彼らの喜びようは、とても消化試合にはない笑顔があった。日本は勝っていても、遠慮していてチームになっていない。きれいな組み立てを意識しすぎているのか、難しいパスを通してはカットされ、リズムをつかめない。そして、悪循環でミスパスも目立ってくる。日本の先制と追加点の2点は、チームの組み立てから、チームで相手を崩しているわけではないため、あまり参考にはならない。

個々で見ると、右における長友のスピード、体の強さは際立っていたが、水野を凌ぐまでの強烈なインパクトではない。萬代は、仙台のように落ち着いていたら、2、3点は取れていたのではないだろうか。すこしもったいなかった。上田も左でよく動いていたが、すこしシステムを意識しすぎて、自分の持ち味を殺してしまった感もあるが、まずまずであろう。

試合は5-2、3-2というスコアになってもおかしくはなかったが、お互いに決定機を外し、3-1で収まった。反町にしてみれば、この試合は、最終予選へ向けて、なにかあった場合のバックアップ的な面子の確認に終ってしまったのではないだろうか。この中で、(枝村、増田、上田などのレギュラー格を除き)今の五輪の面子に割っては入れそうなのは、フィードとクロスのうまい細貝くらいか。今日も、絶妙のフィードから(マレーシアにはすこし可愛そうな)PKをGETした。(だが、細貝はこちらでなく、A3優先に)。杉山、興梠もプレー時間がもうすこしあればよかったが、きっと、あっという間に時間が過ぎたのではないだろうか。

いよいよもって反町の(阪神岡田監督並の)無策放任お任せ戦術がどこへ辿り着くのか。ハマれば最強と錯覚するくらい勢いに乗るが、ハマらなければ、空回りして自滅する。ただ、試合終了後のゴール裏の挨拶に、選手と共に反町監督が一緒になって、サポーターに頭を下げていた姿はすこし印象的だった。こういった部分が彼の隠れた持ち味であり、理論云々以前に、そういった人間性がエキスとしてチームに投影できて、はじめて、彼も本当の意味での代表監督になりえるのであろう。今はまだ、未熟の途中か。それとも・・・。

マスメディアは6戦全勝というが、普通の結果であろう。まだ、アジア二次予選であり、A組やD組の他組と違って、日本はプレッシャーの無い、ぬるい組だった。
最終予選だが、日本はシードに入るようだ。ただし、現状の日本はプレッシャーがかからないと本気を出せない他力な分、北朝鮮、オーストラリア、カタールなど厳しい相手がいいのかもしれない。ただし、われわれ見るサポからすれば、気持ちも胃も擦り切れるような時間を過ごさねばならないであろう。とにかく、13日に組み合わせが決まる。