<KIRIN杯 展望> 日本代表 対 コロンビア代表

カップ戦といえども、あくまで親善試合であるから、公式戦のようなガチンコは期待できない。根本的にわれわれ見る側としては、そういった手に汗握るような真剣勝負が一番見たいものであるが、現状はそうではない。そうなると、コロンビア戦の注目はひとつ。それは、オシムにとっての「しこり」である「ジーコ」の部分がどれだけ払拭されるかであり、今回、ドイツW杯組、海外組が加わり、彼が懸念としているジーコチックがどれだけ出てしまうのか、もしくは、ジーコテイストがどれだけ成りを潜めるかが注目というところであろう。

先発は、FWの高原は使うかわからないが、巻は出てくるかもしれない。稲本、中田、中村が入って、誰が押し出されるのか。中村憲、鈴木、阿部が外れれば、ほぼジーコジャパンの面子とさして変わらない布陣になるであろう。

今年緒戦のペルー戦では、中澤、中村、高原の加入で、あれだけのジーコテイストな内容を垣間見せてしまった以上、今回はそれ以上の、ジーコテイストが見え隠れするかどうかである。もちろん、ジーコの「個」とオシムの共通するアイディアの部分が重なれば、相乗効果になるし、稲本などはジーコであろうと、オシムであろうと関係なく、双方こなせそうな気もする。見る側からすれば、試合結果次第では、おそらくモンテネグロ戦よりは、締まったゲームになるのではないか。


ただし、相手は簡単ではない。コロムビアも長距離遠征の中、怪我をしない程度の本気モードで来るであろう。おそらくは前半から飛ばしてくるか、じっくり引くかのいずれかで来るはず。日本がボールを簡単に持たせてくれないようだと、電光石火のカウンターから0-1の敗戦もある(そもそも、日本が勝つのは難しい相手であるが)。ただし、わたしは日本が勝つと楽観的に予想している。

日本が勝つとしたら、やはりFK、CK、PKのセットからの一撃しかないであろう。良い位置でファウルを貰ったり、コーナーに逃げるようなサイドの攻めが要求されるであろう。出来うるならば、流れの中で、オシムが理想とするパス回しで相手を崩して、ゴールを決められれば、もちろん、いうことはないのだが・・・。
もちろん、1-1、0-0も十分にある。

日程は当然ながら日本に有利である。日本は中3日で、コロンビアは中1日で移動付。コンディションではあきらかにホストの日本が有利だが、そのアドバンテージも90分のうち、どれだけ貯金として使えるかは未知数である。前半に先制できれば、負けることはない。コロンビアもあきらめは早く、時間と状況次第では、勝利より内部テストに移行するかもしれない。逆にコロンビアに先制されたら、彼らは引き、日本は追いつくのがやっとではないだろうか。無難なところで引き分けて、得失点差で日本が3年ぶりのKIRIN杯獲得となるか。…とはみているが。



予断ながら、昨日、6-1と快勝した「なでしこジャパン」を国立で観戦したが、もはや日テレ、浦和R、田崎Pといったクラブの混成による代表チームというより、ひとつのナショナル・クラブのようだった。相手が(永遠の格下クラスの)レベルであった事、そして、いくつかのミスパス、シュートチャンスでのパスは散見されたものの、おそらく、オシムがやりたいサッカーとジーコの強者サッカーがミックスされたお手本のような内容だった。また、8779人しかいない観客からもプレーを読んだ拍手が随所に飛び交い、本来、あるべき本当の風景がそこにあった気がした。