ジーコ発言から紐解くサッカー日本代表の不安な深淵・・・

日本代表追加メンバーが招集された。

将来は加地、アレ、駒野を押しのいてポジションをかっさらい、左右のサイドに固定してもらわないと困る水野、家長の召集は当然といえば当然。平山を選ばないところはある意味、オシムのえらいところ。ただ、中村、高原の招集もチケットの売り上げを心配する日本サッカー協会の圧力ともいいきれない。オシムも雇われている身であり、雇用主の日本サッカー協会には逆らえないのも事実。そういう背景からも、追加メンバーも含め、無難なところで着地した印象。

MF
水野 晃樹 173cm 62kg 千葉   来年の今頃は代表レギュラー定着を
家長 昭博 173cm 70kg G大阪  来年の今頃は代表レギュラー定着を
本田 圭佑 182cm 74kg 名古屋  馴染ませるため?
FW
巻 誠一郎 184cm 81kg 千葉  もはや、ノーゴールでも鉄板
佐藤 寿人 170cm 67kg 広島  もはや、お気に入りブックマークの鉄板
松橋 章太 171cm 65kg 大分  かっての相方・大久保も歯軋りか。
矢野 貴章 185cm 74kg 新潟  巻の代役か、ユースを怪我で棒に振った雪辱を。


選出メンバーすべてを見渡すと、誰がどうというわけではないが、全体的に平均的というか大人しい印象でもある。中には、これが代表でいいの? これが代表なの?といった感想の方もいるのでは。

だが、誰が選ばれた、誰が選ばれなかったという以前に、そもそも代表に選ばれることが目的に変わってやしないであろうか。これは過去のブログでもわたしが散々書いてきた杞憂ネタだが、日本代表選出がいつの間にか目的に摩り替わるのは意外と気付きにくい罠でもある。ここで、ひそかに水面下で騒がれている週刊ポスト(2007年3月30日号)でのジーコによる発言を引用しよう。

W杯の舞台で活躍して、さらなる成功をつかもうとしている選手の中に、選ばれるだけで満足している選手や、使わないとモチベーションを下げる選手がいた。チームの中に腐ったミカンがあるようなものだ。腐ったミカンは、周りにも悪影響を及ぼす。僕は、そうした選手を個別に呼んで話をした。でもダメだった。日本に帰したい選手がいても、制度上、どうにもならなかったんだ。(ジーコ談)

W杯の敗因などは過去ブログの「徒然的総括」でも書いたし、「選手の性格やメンタル面を考えず、単純に能力主義でそういう選手を選んだのはジーコさん、貴方ですよ」というツッコミは置いておいて、日本に帰したい選手や、腐った蜜柑が誰だということにわたしはまったく興味は無いし、所詮、ゴシップ誌のネタでしかない。ただ、このジーコ発言の中にある「選ばれるだけで満足している選手」という言葉は実に的を得ていて、オシムに変わった今でもこの性格は続いているといえよう。

たとえば、大学でなにを勉強するかではなく、大学に合格することが目的に摩り替わってしまう受験界を見ても、われわれ日本人が陥りやすい罠を外国人はまるで知らない。ワールドカップに出場して勝つことでなく、出場することが目的に摩り替わってしまう危うさはいつもそこにある。今の代表選考も、あたかも代表に選ばれるのが最終目標であるかのような雰囲気はまことに怖い。これは選手だけでなく、Jリーグより代表偏重する日本サッカー協会や、代表発表を合格発表のように報道をするマスメディアにも責任はある。

そういう意味では、日本女子代表の方は目的が目的になることはない。なにより彼女達からは(出場できる喜びよりも)勝ちたいという必死なメンタルが伝わってくる。